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RCEP協定発効から2年、中国企業の利用進むが、中小企業の恩恵享受には課題も(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月24日 0時20分

中国人民対外友好協会と安徽省政府共催の「2024年 地方政府と友好都市のRCEP協定協力フォーラム」が6月21日に安徽省黄山市で開催され、その中で「RCEP地域協力発展報告(2024年)」が発表された。同報告は商務部国際貿易経済合作研究院のアジア研究所と新華社傘下の中国経済情報社が共同で取りまとめたもの。地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の発効から2年経ち、貿易・投資データの分析や中国企業へのアンケート調査などを通じて、発効から2年間の全体的な効果を客観的に評価したとしている。同報告書は7月16日に概要が発表された。

同報告のアンケートでは、中国企業のRCEP協定への評価や、原産地証明書利用状況と協定利用での課題が挙げられている。アンケートは2024年第1四半期(1~3月)に実施され、RCEP加盟国と貿易、投資を行う企業から2,297件の有効なアンケートを回収した。回答企業のほとんどがRCEP協定発効の効果について肯定的な評価をしており、4分の3を超える企業はビジネス環境が改善したと回答し、半数以上の企業が生産と経営にプラスの影響を与えるとした。地域別にみると、東部地域と中部地域に所在する企業がより効果を高く感じていた。物品貿易に関しては、45.8%の企業がRCEP協定によって輸出市場が拡大し、貿易の機会が増加したと考えており、42.7%の企業が貿易手続きが簡素化したと回答した。サービス貿易と投資に関しては、52.2%の企業が事業活動はより円滑になったとした。

原産地証明書の利用に関しては、物品貿易を行う企業の70%以上がRCEP協定、または中国・ASEAN間などの2国間の自由貿易協定(FTA)の原産地証明書を利用し、特恵関税措置を享受している。原材料、部品など中間財、最終製品の貿易でも、70%以上の企業がRCEP協定の関税削減・免除が企業の生産・貿易コストを下げる上でプラスの効果を与えているとした。特に電気機器製造業、木材加工業、家具製造業等の企業は、効果をより感じていると回答した。

同時に、RCEP協定発効後2年間の課題や困難な点として、次の5点が挙げられている。

1. 小型・零細企業がRCEP協定によるメリットを享受する機会は依然として不足している。
2. RCEP協定の原産地規則における累積制度(注)の利用率が低い。
3. 西部地域に所在する企業のRCEP協定活用度は東部地域の企業よりも低い。
4. RCEP後発加盟国の通関で利便性が向上する必要がある。
5. RCEP加盟国間の協力体制は依然として不確実性が高い。

このため、中国とRCEP加盟国は協調し、協力体制を強化し、同地域の企業にとって持続可能、かつ安定的な発展のための戦略を共同で構築する必要があるとしている。

(注)RCEP協定で規定している累積制度は、一般には「モノの累積」といわれるもの。他の締約国から輸入された原産材料については、その原産材料そのもの、その「モノ全体」を自国の原産材料として扱うという考え方を指す。

(高橋大輔)

(中国)

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