オーストラリア・ニュージーランド首脳会談、太平洋島しょ国地域協力などで連携（ニュージーランド、オーストラリア、オセアニア）

ニュージーランドのクリストファー・ラクソン首相は8月15日から2日間のオーストラリア訪問中、アンソニー・アルバニージー首相と首脳会談を行い、両首脳は16日に共同声明を発表した。共同声明では「トランスタスマン関係」（注）を両国や地域の現状に沿ったものとし続けるため、（1）経済、（2）安全保障・レジリエンス、（3）太平洋島しょ国・地域、（4）共通の原則と価値観、（5）人的交流の分野で協力を拡大するとした。

共同声明の経済分野では、雇用、生産性、経済回復などを包括的に支援するため、オーストラリア政府のイニシアチブ「フューチャー・メード・イン・オーストラリア」（2024年4月22日記事参照）と、ニュージーランド政府による経済立て直しの取り組み（2024年6月13日記事参照）といった政策で、緊密に連携すると約束した。気候変動対策では、インド太平洋地域の発言力を強化するため、ニュージーランドはドイツが主導し、オーストラリアも参加している「気候クラブ」（2023年7月25日記事参照）に参加すると発表した。産業分野では、遺伝子組み換え規制の調和（2024年8月23日記事参照）や、人工知能（AI）、宇宙研究といった協力を盛り込んだ。

安全保障分野では、米国、英国、オーストラリアによる安全保障協力の枠組み「AUKUS（オーカス）」が地域の安全と安定を強化する取り組みであることを両国間でも確認した。また、重要・新興技術分野で連携強化を行うAUKUS第2の柱に対して、ニュージーランドが協力の可能性を模索することに関心があると声明に盛り込んだ。

太平洋島しょ国・地域の協力については、太平洋諸島フォーラム（PIF）の創設メンバーとして、両国がPIFファミリーの連携強化、共通の価値観の維持のために担う役割を認識した。また、太平洋地域の平和と安全を強化するため、同地域のイニシアチブ「太平洋警察構想（Pacific Policing Initiative：PPI）」への支援に言及した。加えて、太平洋島しょ国の気候変動に関する意見を集約し、世界に届ける責任を果たすため、2026年の国連気候変動枠組み条約第31回締約国会議（COP31）開催地として、オーストラリアの立候補について議論したとした。

そのほか、ラクソン首相はニューサウスウェールズ州のクリス・ミンズ州首相を訪問し、インフラ分野について意見交換を行った。

（注）トランスタスマン関係とは、タスマン海を挟んだオーストラリアとニュージーランドの緊密な同盟関係を指す。

（青島春枝）

（ニュージーランド、オーストラリア、オセアニア）