米年末商戦、感謝祭休暇5日間の買い物客数は前年下回る、所得層によって購買パターンが二極化(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月5日 10時25分
全米小売業協会(NRF)は12月3日、米国の年末商戦の始まりとされる感謝祭から翌週月曜日(11月28日~12月2日)までの5日間の買い物客数を発表した。実店舗とオンラインを合わせた買い物客数は1億9,700万人で、2023年の2億40万人を下回ったものの、NRFが11月時点で予想した1億8,340万人を上回った。NRFが同調査を開始して以来、2023年に次いで調査史上2番目の高水準となった。
内訳をみると、感謝祭から5日間の実店舗への来客数は1億2,600万人で、2023年の1億2,140万人を上回った。5日間のうち来客数が最も多かった日は、2023年同様、感謝祭翌日の「ブラックフライデー」(11月29日)で、1日の買い物客数は8,170万人と、2023年の7,620万人を上回り、新型コロナウイルスのパンデミック以降の最高水準となった。
オンラインでの購入者数は前年同期比7.9%減の1億2,430万人だった。オンラインで買い物客数が最も多かった日もブラックフライデーで、買い物客数は8,730万人と、2023年の9,060万人からわずかに減少した。また、オンライン販売のセール日とされる「サイバーマンデー」(12月2日)も買い物客数は6,440万人と、2023年の実績(7,310万人)を下回り、伸びが鈍化した。
ただし、アドビ・アナリティクス(12月3日)によると、金額ベースでは、感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間のオンライン販売は堅調で、同期間のオンライン売上高は前年比8.2%増の411億ドルに達した。このうちサイバーマンデーの売上高が前年比7.3%増の133億ドルと、予想(132億ドル)をわずかに上回り、過去最高の水準を記録した。サイバーマンデーでは「バイナウ・ペイレーター(BNPL)」(注)サービスの利用が前年比5.5%増の9億9,120万ドルと、過去最高の水準を記録した。セール期間中に実施された大幅な値引きが多くの消費者を引き付け、買い物客が電化製品やスポーツ用品などの高額商品を購入するきっかけとなり、オンラインでの購買を後押ししたという。
今回の結果は年末商戦に向けた大きな傾向を反映しており、NRFのマシュー・シェイ会長兼最高経営責任者(CEO)は同日の記者との電話会見で、所得層によって消費者の購買パターンが「二極化」していることが浮き彫りになったと述べた。同氏によると、「(世帯年収が10万ドル以上の)高所得世帯ほどオンラインを利用する傾向が強く、そのほかの所得レベルの世帯では、より頻繁に買い物に出かけ、買い得品を店舗で直接探す傾向がある」とした。また、低所得世帯では、現金やデビットカードへの依存度が高いほか、送料や返品手数料を避けるため、または、贈答品よりも買い得品を探していることから、高所得世帯よりも店舗で買い物をすることが多い可能性があるとも指摘した(インベストペディア12月3日)。
(注)商品やサービスを購入した後に代金を支払うもので、一般的には一定期間内での分割による後払いの形式をとり、その際に利子や手数料はかからない。
(樫葉さくら)
(米国)
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