11月の物価上昇率は前月比2.4%、インフレ沈静化が継続(アルゼンチン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月23日 0時15分
アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は12月11日、2024年11月の消費者物価指数(CPI)上昇率を公表した。全国平均で前月比2.4%、前年同月比166.0%、1月から11月までの累計では112.0%上昇した(添付資料図1参照)。引き続きインフレが沈静化しつつある状況を受けて、ルイス・カプート経済相は、自身のSNSを通じて、公式為替レートを対ドルで毎月2%切り下げるクローリング・ペッグについて、切り下げ幅を1%に縮小する日が徐々に近づいているとの認識を示した。
11月の前月比伸び率を項目別にみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスはマイナス1.2%で、前月比でマイナスを記録したのは、2018年2月以来。季節変動要因のある品目を除いたコアインフレ率は2.7%と、前月の2.9%からさらに低下した。エネルギーや公共サービスなどの価格が規制されている財・サービスは3.5%だった。
前月比の伸び率を費目別にみると、多くの費目が平均値を上回ったが、CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は0.9%と、前月の1.2%からさらに低下した(添付資料表1参照)。
ジェトロが独自に調査した2024年12月18日時点の品目別の物価をみても、大幅に値上がりしたのは値引き販売が終了した品目が中心で、12月のCPI上昇率も安定するとみられる(添資料表2参照)。また、足元で公式為替レートとブルーレートと呼ばれる並行為替レート、いわゆる闇ドルレートの乖離幅が縮小していることを受け、闇ドル換算の物価も、ペソ建てほどではないが、前年同月比で大きく伸びている。外国人や富裕層などのドル生活者にとっては物価が安かった状況は一変している。
賃金と物価の上昇率をみると、前月比では2024年4月以降、賃金の伸びが物価の伸びを上回っているが、前年同月比では賃金の伸びが物価の伸びを下回っており、国民は我慢を強いられている(添付資料図2参照)。とは言え、物価の伸びは前述のとおり着実に鈍化しており、サン・アンドレス大学の世論調査によると、インフレそのものは、国民の最大の関心事ではなくなった。
中央銀行がエコノミストらを対象に毎月実施しているマクロ経済指標の予測値に関するアンケート調査「REM」の最新結果(2024年11月)によると、2024年のCPI上昇率予測値の中央値は118.8%、2025年は28.1%となっている。2024年12月22日には、物品の輸入代金支払いのための外貨購入に7.5%を課税しているパイス税が廃止されるため、さらなる物価の押し下げ要因になるとみられる。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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