ネットゼロは再エネ、エネルギー効率、原子力の3本柱(トルコ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月19日 0時55分
国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が11月11日、アゼルバイジャンのバクーで開幕した(2024年11月12日記事参照)。会議に参加したトルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は12日の国家元首・政府首脳会合での演説で、トルコの2053年ネットゼロエミッション目標に向けた優先事項が「再生可能エネルギー、エネルギー効率、原子力エネルギー」にあると強調した。
エルドアン大統領は、トルコは気候危機の悪影響が最も強く感じられている国の1つであると指摘し、2053年にネットゼロエミッション目標とグリーン開発を達成するというビジョンに沿って、「グリーンファイナンス戦略を実装し、グリーン分類法を創設するという取り組みが継続している」と述べた。また、排出権取引制度を含む気候変動法案を近く議会に提出するとした。
大統領はまた、風力と太陽エネルギーの設備容量を現在の3万1,000メガワット(MW)から2035年までに12万MWに増加させ、2050年までに原子力エネルギー容量を2万MWに達成させることを目指すとした。また、2024~2030年までの国家エネルギー効率化行動計画により、二酸化炭素換算排出量は1億トン削減が見込まれると述べた。
先に大統領府が発表した「2025年大統領府年次プログラム」においても、エネルギー分野は優先開発計画の1つで、グリーントランスフォーメーションの加速、特にエネルギー供給の安全性の確保、再生可能エネルギーの生産能力とエネルギー効率の向上が経済的にも戦略的にも重要な投資分野とされている。
また、ムラト・クルム環境・都市化・気候変動相は、気候変動対策における長期ロードマップを発表した。ロードマップでは18セクターでの89の戦略が設定され、再生可能エネルギーの比率を50%に増やすことが目標とされる。また、同相は、気候変動資金へのアクセスがトルコにとって重要であり、「より公平な世界のために」不可欠と強調した。
なお、トルコはCOP31議長国への立候補を表明し、気候変動対策における先進国と開発途上国との懸け橋となることを約束した。
COP29に関する情報はジェトロビジネス短信特集「COP29に係る各国の反応」も参照。
(中島敏博)
(トルコ)
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