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ハリス陣営が政策集を発表、米国の重要産業への投資強化で中国に対抗(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月27日 13時35分

11月の米国大統領選挙における民主党候補のカマラ・ハリス副大統領の選挙陣営は9月25日、「中間層のための新しい道」と題する政策集を発表した。民主党の政策綱領は、ジョー・バイデン大統領が選挙戦から撤退を表明する前に同党で承認されていたため(2024年8月20日記事参照)、ハリス氏自身のまとまった政策集としては初となる。

全体で82ページにわたる政策集は、大きく「中間層のコスト削減」と「米国人が成功し、富を築くための機会経済の構築」の2つに分かれる。前者では、労働者のための減税や、食品・食料品、医薬品などのコスト削減など、後者では住宅の購入支援や高騰する家賃への対策、中小企業支援など、おおむねこれまで選挙キャンペーンで明らかにしてきた方針(2024年8月19日記事参照)があらためて記された。

このうち、9章「米国のイノベーションと米国の労働者によって強化された産業力に投資する」では、安全保障上重要な分野での米国内での投資に注力し、中国に対抗する方針が示された。「未来の重要産業」と記載された項目では、米国の戦略的優位性の維持・拡大を目的に、鉄鋼・鉄生産における現代化と排出削減、バイオテクノロジーの開発、人工知能(AI)のためのデータセンターの新設、クリーンエネルギーの製造とイノベーションの拡大、半導体産業の活性化、航空宇宙・自動車への投資などを挙げ、「米国は中国のような国にリーダーシップを譲り、国家の安全保障を危うくすることはできない」と記した。また、バイデン政権は中国が過剰生産や強制的な技術移転など不公正な貿易慣行によって米国の労働者や企業を脅かした際、立ち向かってきたとした上で、ハリス氏が大統領になれば、「造船、電気自動車(EV)、知的財産など、米国の労働者や企業が脅威にさらされた場合、ちゅうちょなく行動を起こす」「公正な貿易を守り、予見可能性と安定を生み出す国際的な経済ルールと規範を支持し強化する」と記載した。

今回の政策集は、これまでの民主党の政策綱領などと同様、共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ前大統領との対比も記載されている。対中政策では、トランプ氏が「米国の雇用に負担になり、米国のビジネスの利益に反し、輸出拡大に失敗し、経済成長を阻害した、中国との悲惨な貿易戦争を繰り広げた」と批判した(注)。

11月5日の投票日まで1カ月強となり、選挙戦は終盤を迎えている。ハリス陣営はトランプ氏との2回目の討論会をCNN主催で10月23日に行うことを承諾したが、トランプ陣営は既に期日前投票が行われていることなどから討論会への参加は否定している(政治専門紙「ポリティコ」9月21日)。

ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙に向けての動き」では、大統領選に関する最新動向を随時紹介している。

(注)ただし、ハリス氏は9月に行われた大統領候補による討論会において、司会者よりトランプ前政権が課した追加関税を維持していることについて見解を求められた際、明確に回答するのを避けた(2024年9月12日記事参照)。なお、追加関税率は、EVなど一部品目において、バイデン政権によって引き上げられることが決定している(2024年9月17日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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