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政府がドライポートの運用を改善へ(ラオス)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月26日 1時15分

ラオス政府は6月5日、「ドライポート(注1)に関する政府令298号」を発布した。7月11日から発効する。同政府令は2021年8月4日に発布した政府令513号を改正したもので、ドライポートの許認可や管理監督に関する規則を定めたもの。

同政府令では、ドライポートの基準について、土地面積8ヘクタール以上とし、必要なインフラ(コンテナヤード、X線検査場、倉庫など)や重機(ガントリークレーンなど)、システム、セキュリティーが備わっていることと定めた。また、ドライポートのデベロッパーは貨物の集配送やコンテナ保管、倉庫サービス、関税や植物検疫の申告などのサービスを提供でき、ドライポート内に入居してサービスを行う事業者は倉庫や積み替え、パッケージング、修理などができるとした。デベロッパーの外資企業の出資比率については、49%まで認められる。

ラオスで現在操業中のドライポートは、(1)隣国タイとの国境近くの首都ビエンチャンの郊外で、タイ国境近くに位置するタナレーンドライポート(2020年7月13日記事参照)、(2)中部サワンナケート県のサワンナケートドライポート、(3)南部チャムパサック県のワンタオドライポートの3カ所ある。一方で、サービス費や輸送時間の増加、サービスの質の低さなどの課題が指摘されてきた。例えば、タイなど外国籍トラックは空荷の状態でラオス国内を走行できず、ドライポートでラオス籍トラックへの切り替えが求められ、日系企業にとってコストや全体的な輸送時間の増加につながっている。また、ドライポートごとにサービスの内容や料金が異なり、積算根拠が不明確な点や、トランジット貨物への不適切なサービス料金の請求、ドライポート内での事故発生時の責任の所在、サービス料金のドル価格表示や不利な為替レート適用などの問題も挙げられる(注2)。

今回の政府令改正では、これらの課題の一部に対応し、前政府令と比較して次のポイントを変更した。

「輸出入およびトランジット車両は必ずドライポートを経由しなければならない」とする条項を削除し、「トランジットの場合はドライポートを経由する必要がない」と明示(第23条)。
「デベロッパーや入居事業者の過失により損失があった場合は、サービス提供者が貨物の価値に応じて補償を行う」とする条項(第25、32条)を追加。
「サービスの料金は現地通貨キープで掲示し、キープもしくは外貨で受理すること」「為替レートは商業銀行のレートを適用する」という条項(第48条)を追加。

また、外国籍トラックのラオス国内の走行に関しては、管轄する公共事業運輸省は近く関連法の改正を行うとしている。サービス料金や内容についてもルール化を進めている。さらに、タイなど隣接する国との2カ国間輸送協定の改定の協議を進めるとしている。

写真 ドライポートの様子(ジェトロ撮影)

ドライポートの様子(ジェトロ撮影)

(注1)ドライポート(内陸港)とは、内陸の物流拠点として輸送の効率化を目指して設立したロジスティクスターミナルで、貨物の取り扱いや一時保管、通関サービスなどを提供するインフラのこと。海のない内陸国ラオスでは、トラックや鉄道輸送などを組み合わせたマルチモーダル輸送や、効率的で環境にやさしい開発を目指している。

(注2)ドライポートの課題の詳細については、ラオス商工会議所を中心にラオス政府との投資環境改善の取り組みの「第15回ラオビジネスフォーラム」(2024年4月12日記事参照)や、ラオス日本人商工会議所とラオス政府との協議「第17回日ラオス官民合同対話」を参照。

(山田健一郎)

(ラオス)

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