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次期エネルギー価格上限引き上げ、市場安定化へ再エネ推進を強調(英国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月30日 0時10分

添付資料PDFファイル(249 KB)

英国のガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)は8月23日、10月から3カ月間のエネルギー価格上限(energy price cap)を発表した(注)。標準的な家庭のガス・電気使用量の場合、年間の価格上限は1,717ポンド(約32万7,947円、1ポンド=約191円)と、現行(2024年7~9月)の1,568ポンドから149ポンドの引き上げとなった(2024年6月5日記事参照、添付資料図参照)。

価格上限は2024年4~6月期以降引き下げが続いていたが、今回引き上げに転じた。引き上げの主な要因は、地政学的緊張の高まりと異常気象によるガスの競争激化を背景とする国際的なエネルギー市場の価格上昇だとしている。Ofgemのジョナサン・ブリーリー最高経営責任者(CEO)は「今回の価格上限引き上げは、多くの家庭にとって非常に困難なものになる。不安定な国際ガス市場への依存によって引き起こされたもので、国産の再生可能エネルギーシステムを構築することが料金を引き下げ、持続可能で安定的なエネルギー市場を創出するカギとなる」とした。

また、英国調査会社のコーンウォール・インサイトは、今後も価格上限は上昇するとし、次回(2025年1~3月期)を約1,762ポンドと予測している。同社の首席コンサルタントのクレイグ・ローリー博士は「エネルギー危機から3年経った今でも、エネルギー料金が歴史的な水準からかけ離れている現状では、市場の自浄作用により、危機以前の価格水準に戻ることを期待するのは非現実的だ。Ofgemによる価格上限の見直しと、政府による再エネへの取り組み強化が公平で持続可能なエネルギー料金を提供する現実的な解決策となることを期待する」とコメントした。

Ofgemは同日、家庭用エネルギー料金の基本料金削減に関する政策文書を発表し、意見公募を開始した。短期的な施策には、料金メニューを多様化し、基本料金(固定料金)の一部を従量料金(使用量に応じた料金)に転嫁することが含まれ、顧客に使用量を減らすことでエネルギー料金を節約する機会を提供する。また、長期的には、送配電網の利用にかかる託送料金のさらなるコスト削減が可能か検討する。

(注)エネルギー価格上限は、Ofgemがエネルギー供給事業者の顧客への上限単価額を設定したもので、標準的な家庭のガス・電気使用量を基に算出される。実際の請求額はエネルギー使用量に応じて算出される。

(奈良陽一)

(英国)

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