イスラエル財務相、トルコからの輸入品に対する関税を100%上乗せする意向を表明(イスラエル、パレスチナ、トルコ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月21日 11時50分
イスラエルのベザレル・スモトリッチ財務相は5月16日、X(旧Twitter)でトルコからの輸入品に対する関税を100%上乗せする意向を表明した。5月2日にトルコ貿易省が発表した、イスラエル政府がガザ地区への十分な人道援助の継続した流入を認めるまで、イスラエルとの全品目の貿易停止を受けたことによるもので(2024年5月7日記事参照)、スモトリッチ財務相は、トルコとの自由貿易協定(FTA)により、トルコからの輸入品に適用されている特恵関税率を全て廃止するとともに、既存の関税率に加えて100%の関税を上乗せするとしている。
イスラエル商工会議所連合会(FICC)のシャハール・トゥルジェマン会長は、ワイネットニュース(5月19日)に対し、「スモトリッチ氏の政策転換により、国民がツケを払うことになる」と批判した。なお、FICCのウェブサイトでは、イスラエル企業が輸出入取引を希望する製品リストを掲載しており、建設資材、農薬、食品、繊維製品、衛生用品などについては緊急に輸入先を探しているという。
一方、イスラエル製造業者協会は、スモトリッチ財務相の計画について、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領に反撃することなく、イスラエル経済に損害を与えることは許されなかったとして、「適切な対応」と評価した(「タイムズ・オブ・イスラエル」紙5月18日)。
イスラエル経済産業省は5月12日、輸出業者のマーケティング活動やトルコに替わる代替輸出市場の開拓を支援するため、当面500万シェケル(約2億1,000万円、1シェケル=約42円)を割り当てると発表した。輸入に関しては、代替輸入先の発掘や国内生産を支援しているという。
イスラエル農業・農村開発省は5月5日、イスラエル国民への農産物の供給を確保し、国内農業を奨励、強化するために、情勢分析を行うとともに、代替輸入先の確保を推進していることを明らかにした。同省によると、現時点では農産物の不足は予想されておらず、2024年初めからトルコからの生鮮野菜の輸入は減少傾向にあり、4月の総輸入量は3,000万トンにとどまるとしている。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(中溝丘、アンナ・ジュコブ)
(イスラエル、パレスチナ、トルコ)
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