米ノースカロライナ州で米系食肉卸しと連携、和牛エデュケーション事業開催(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月30日 0時50分
日本政府による農林水産物・食品 輸出支援プラットフォームは10月22日、米国ノースカロライナ州シャーロットで、和牛のエデュケーション事業を実施した。同事業は、米国主要消費地以外への販路拡大に向け、ターゲットとなる地域に根付いた米系食肉卸売事業者と連携し、当該事業者の顧客を中心とした外食・小売事業者向けのセミナーを実施するもの。9月のテキサス州ダラスに続く開催となった(2024年9月18日記事参照)。
今回のセミナーでは、ノースカロライナ州を含む米国の東海岸から中西部で有力な米系食肉卸売事業者のほか、当該事業者に和牛を卸す日系輸入事業者の協力を得ながら、格付け制度などの基礎知識や、ニューヨークのミシュラン和食店シェフによる非ロイン系部位(注1)のカッティングデモ、レシピ提案・試食提供を行った。試食では、シェフが提案するロイン系部位に比べて安価な非ロイン系部位を用いたアペタイザー5品を提供した。比較的安価な非ロイン系部位を用いることで、高付加価値で利益率の高いメニューを開発できるという視点に、参加したレストランシェフなどが大きな関心を寄せていた。
セミナー終了後には、米系食肉卸売事業者に問い合わせが多く寄せられた。消費が活発になるホリデーシーズン(注2)直前に実施したことで、効果の高いイベントとなった。協力を得た米系食肉卸売事業者は、米国大手食品卸売業者の子会社で東海岸から中西部の各地に拠点を有することから、和牛の輸出拡大が急速に進むことが期待される。
農林水産物・食品 輸出支援プラットフォームとしては、主要消費地以外での新たな消費地の開拓と、非ロイン系部位の理解向上を通じた和牛の輸出拡大を目的として、米系卸売事業者と連携したセミナーを引き続き実施していくこととしている。
米系食肉卸売事業者の顧客など外食・小売事業者30人以上が参加(ジェトロ撮影)
非ロイン系部位のカッティングデモ(ジェトロ撮影)
試食に提供された非ロイン系部位を用いた高付加価値なアペタイザー(ジェトロ撮影)
(注1)ロイン系部位(ヒレ、リブロース、サーロイン)以外の部位。1頭の牛から取れるロイン系部位は約14%だが、米国向けの牛肉輸出の約8割がロイン系部位となっている。
(注2)毎年11月第4木曜日の感謝祭(Thanksgiving Day)からクリスマスまで続く。前後の週末には長めの休暇を取る人も多く、消費が活発となる。
(冨樫達也)
(米国)
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