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米産業界はAIなどの規制緩和に期待も関税には懸念、トランプ氏勝利受け(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月8日 13時30分

米国大統領選挙の投開票が11月5日に行われ、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が勝利を確実にした(2024年11月7日記事参照)。産業界からは規制緩和への期待や関税への懸念など、さまざま声が上がっている。

米国商工会議所は11月6日、「経済成長を促進する税制を維持し、企業に規制緩和をもたらし、人工知能(AI)の力を活用して米国のイノベーションを推進し、あらゆるエネルギー源からの生産を拡大」するよう、次期トランプ政権と協力したいとの声明を発表した。トランプ氏は、法人税減税の恒久化や、自動車やエネルギー生産に対する規制撤廃を公約に掲げていた(注)。AIブームを背景に、新政権に期待する声もある。情報技術産業協議会(ITI)は「次期政権は、世界的なAI競争における米国の優位性を維持し、国際競争力のある税制を創設し、米国の貿易、経済、国家安全保障の主要目標を推進できる」とし、ビジネス・ソフトウエア・アライアンス(BSA)は「次期トランプ政権は、より強固なサイバーセキュリティーソリューションの開発を促進し、国境を越えたデータ移転に関する高い基準を推進し、イノベーターを支援し企業や消費者がAIを容易に開発・採用できる公平な競争条件を創出するために、AI政策における米国のリーダーシップを確保できる」との声明を発表した。バイデン政権は、AIがもたらす安全保障へのリスクなども勘案しながら慎重に指針を策定してきた(2024年10月25日記事参照)。また、越境データフローなどデジタル貿易については、WTOなどでの支持を取り下げており、その決定に対して米国商工会議所や連邦議会が調査に乗り出していた(2024年8月1日記事参照)。

一方で、トランプ氏が掲げる関税政策に懸念を示す業界もある。全米外国貿易評議会(NFTC)は、関税に対する意見は分かれるかもしないとしつつ、「米国の経済同盟を強化し、海外の米国企業と労働者のために立ち上がり、世界経済を導く基準を設定するために、建設的なビジネスとしての意見を発信していく」との声明を発表した。トランプ氏の関税政策は、同盟国と懸念国に区別なく関税負担を強いる点で、バイデン政権とは大きく異なる。全米アパレル・履物協会(AAFA)は、関税引き上げが「新たなインフレのサイクルを引き起こし、米国人が毎日服を着るのにこれまで以上に費用がかかるようになる」「(中国原産品に対する)301条関税も依然として継続しており、衣類と靴の40年ぶりの高インフレをもたらした」「関税は、中国やその他の供給国ではなく、米国の企業と消費者によって支払われる税金」と指摘する声明を発表した。全米小売業協会(NRF)は11月4日に、トランプ氏が提案する関税により、米国人の年間購買力が780億ドル減少する可能性があるとの調査結果を発表している。トランプ氏は、中国に対する追加関税率の60%への引き上げや、全世界からの輸入に一律10%以上の関税賦課、米国へ輸出する国が課している関税率と同じ関税率を米国輸入時にも適用するトランプ互恵通商法などを提案している。

(注)共和党の政策綱領に基づく、トランプ氏の政策方針は、2024年8月9日付地域・分析レポート2024年9月6日付地域・分析レポート参照

(赤平大寿)

(米国)

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