ジェトロ、オーストラリア水素ミッションでクイーンズランド州訪問(オーストラリア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月27日 0時20分
ジェトロは9月9日から11日にかけて、エネルギ―関連企業やメーカー、政府機関など約50人からなる「オーストラリア水素ビジネスミッション」を実施した。9日はニューサウスウェ―ルズ州ニューカッスルを訪問し(2024年9月20日記事参照)、10日はクイーンズランド州ブリスベンで州政府や現地商工会議所などを訪問した。
クイーンズランド州政府の説明を受けるミッション参加者(ジェトロ撮影)
ビジネスセッションに登壇したオーストラリア連邦政府貿易投資促進庁(オーストレード)は、連邦政府のグリーン水素支援策の紹介に加え、国内の水素プロジェクトに対して日本の投資、オフテイク(長期供給)契約、技術協力を呼びかけた。また、クイーンズランド州政府の貿易投資庁(TIQ)は、同州は再生可能エネルギーが非常に豊富で、水素事業が有望として、重要な貿易・投資パートナーの日本からの事業参画に期待を寄せた。また、電力、水道、土地、港湾各分野では州政府公社が運営しているため、他州と比較して分野を横断してスムーズに連携できることや、認可の窓口が州政府公社に一元化されていることに優位性があると説明した。
州のエネルギー・気候省(DEC)は、州の再生可能エネルギー比率を現在の27%から2035年までに80%に引き上げる目標を掲げているとし、2024年度から4年間で260億オーストラリア・ドル(約2兆5,740億円、豪ドル、1豪ドル=約99円)を投じて、再生可能エネルギーや蓄電プロジェクトの開発、送電網の整備を行う「クイーンズランド・エネルギー・アンド・ジョブズ計画」を紹介した。州政府の水素の政策立案担当者は、水素のオフテイクは課題だが、州には鉱業など既存産業があるため、鉱業やそのサプライチェーンで水素活用の可能性も期待されると説明した。
また、デロイト・アクセス・エコノミクスのエネルギー専門家がオーストラリアの脱炭素政策や関連産業動向の分析について講演した。国内の脱炭素化の状況について、連邦政府や州政府の脱炭素目標を達成するには、国内の再生可能エネルギー開発を一層進める必要があり、再生可能エネルギー導入量の観点では、グリーン水素やグリーン鉄鋼を輸出できるまでには現状至っていないとの見解を示した。また、国内で水素プロジェクトからの企業撤退や生産目標取り下げの発表が続いている(注)ことについて、企業がより見込みのある水素プロジェクトを選択し、淘汰が進んでいるということで、何か問題が起きているわけではないと見ているとした。
(注)現地報道によると、例えば、2024年7月に資源大手のフォーテスキューが高い生産コストを理由に、2030年までにグリーン水素を年間1,500万トン生産する目標を取りやめる方針を示したことや、8月にウッドサイドエナジーがタスマニア州ベル・ベイで計画していた「H2TAS」のグリーン水素プロジェクト計画について、再生可能エネルギー電力の不足などを理由に撤退を発表している。
(青島春枝)
(オーストラリア)
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