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環境政策拡大も、シェブロン法理の無効化で規制の合法性揺らぐ恐れ、ジェトロの環境エネルギー月例レポート(2024年6月)(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月6日 0時45分

ジェトロは8月2日、米国の対環境エネルギー政策動向についてまとめた2024年6月分の月例レポートを公表した。このレポートは、日本企業が米国の環境・エネルギー政策に関する動向を把握できるよう、8月以降、毎月分を作成して特集ページに連載する予定。

米国の連邦最高裁判所は6月28日、政府による法解釈の権限「シェブロン法理」を無効化する判決を示した(2024年7月4日記事参照)。近年、米環境保護庁(EPA)は「シェブロン法理」に基づき、大気浄化法(CAA)などの既存法を解釈することにより、自動車排ガス削減のテールパイプ規則や、火力発電所を対象とした炭素排出削減規則など、気候変動対策となる規制を整備してきた。しかし、今回の判決により、曖昧な法律に基づく政策決定権が政府省庁から裁判所へ移行したことで、今後の訴訟でこうした規制の合法性が否定されるリスクが高まった。

また、財務省・内国歳入庁(IRS)は5月29日、インフレ削減法(IRA)に基づくクリーンエネルギー税控除の詳細ガイダンス案を発表した(2024年6月7日記事参照)。ガイダンス案で示した内国歳入法45Y、48Eでは、税控除の適用対象となる技術が従来の再生可能エネルギーのみならず、多様な種類のネットゼロ電源にも初めて拡大されている。8月2日までに募集したパブリックコメントを参考に、最終ガイダンスを発行する見込み。産業界からは、技術的に中立なクリーンエネルギーを対象としていることなどを評価する声が上がる一方、バイオガス業界団体からは、これまで対象となってきたバイオガスや再生可能ガス発電による電力が事実上対象外とされたことに反発する声も出ている。

そのほか、バイデン政権は5月28日、炭素クレジット取引に関する新たな共同声明・施策を発表した(2024年5月30日記事参照)。IRAなどの公的支援に基づき、国内の脱炭素化の取り組みが進むにつれて、炭素クレジットの取引も活発化しているが、クレジットの測定方法が一貫性や正確性に欠け、不正取引も顕在化しつつあることに対処する狙い。また、信頼性が高い自主的炭素市場(Voluntary Carbon Markets:VCM)を実現することによって、さらなる民間投資の呼び込みも狙う。特にこれまでVCMに参加してこなかった農業従事者や中小企業、起業家、気候テックなど、炭素削減・除去プロジェクトの開発や実施を手掛ける国内外プレーヤーの市場参加を促すことも目的としている。

ジェトロの同レポートではそのほか、米国内外の主要企業の最新動向も併せて紹介している。なお、世界の環境・エネルギー政策についてのページから動向情報が随時確認できる。

(加藤翔一)

(米国)

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