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労働法改正で最低賃金の設定方法を規定(チェコ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月19日 1時15分

チェコで労働法改正法が7月31日に官報に掲載され、8月1日付で最低賃金の設定方法に関して以下の規定が導入された。概要は次のとおり。

1. 最低賃金は、平均賃金見通しに対する一定の割合のかたちで定める。
2. 平均賃金見通しは、財務省が8月31日までに省令で公表する。
3. 最低賃金の平均賃金見通しに対する割合は、政府、雇用者団体および労働組合による3者協議の上、政府が政令により翌年1月1日から2年間分を決定する。決定に際しては、最低賃金の購買力、物価、賃金上昇率、長期的な生産性とその推移などに対する妥当性を考慮する。
4. 最低賃金は、労働・社会福祉省が2、3を受けて9月30日までに省令で公表する。
5. 最低賃金の妥当性を評価する指標は、平均賃金の47%を基準とする。

最低賃金は従来、雇用者団体、労働組合および政府による3者協議を経て政府が決定していたが、設定基準や公表時期に関する規定はなかった(2023年12月20日記事参照)。

マリアン・ユレチカ労働・社会福祉相は、同改正法を内閣が閣議決定した3月20日付のプレスリリースで、改正の目的について、最低賃金の改定方法を透明性があり予測可能なものにするためと説明している。最低賃金の平均賃金に対する割合は、「2025年の42.2%から毎年上昇し、2029年までに少なくとも47%に達するべきと考える」と述べた。同省の推定によると、2024年は41.1%となっている。

さらに、今回の改正では、民間の被雇用者に対する保証賃金制度を撤廃した。チェコでは職務の性格により分類されたグループごとに、最低賃金と少なくとも同額もしくはそれを上回る額が保証賃金として規定されていた(2020年11月24日記事参照)。一方、公的機関における保証賃金制度は維持される。

チェコ産業連盟は3月22日付のプレスリリースで、今回の改正は企業の予測可能性を高めるとコメントした。同連盟は、特に民間部門における保証賃金の撤廃を歓迎しており、保証賃金制度はスロバキアを除く他の欧州諸国では存在しないとした上で、「保証賃金は最低賃金を基に規定されるが、近年は最低賃金が導入時期直前に大幅に変更されるケースが相次いだため、(最低賃金での雇用者がいない企業においても)人件費の予測が困難となっていた」と指摘した。さらに各グループの保証賃金が、職務の複雑さ、責任などの性質、産業部門、企業規模などを考慮しておらず、整合性に欠けるため、保証賃金の撤廃は適切としている。

(中川圭子)

(チェコ)

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