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インフレ率は順調に低下するも、世界経済は足踏み、IMF経済見通し(世界)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月23日 1時30分

添付資料PDFファイル(112 KB)

IMFは7月16日、最新の「世界経済見通し(改定版)」(英語日本語)を発表した。世界経済の成長率(実質GDP伸び率)について、2024年を3.2%、2025年を3.3%と予測した(添付資料表参照)。前回の4月時点見通し(2024年4月17日記事参照)と比較して、2024年は据え置き、2025年は0.1ポイントの上方修正となった。IMFは世界経済を「足踏み状態」と表現している。

主要国・地域別にみると、2024年の米国の成長率は2.6%と、4月の予測よりも0.1ポイント下方修正した。2025年は1.9%と予測している。消費の減速や、純輸出の寄与度がマイナスだったことを反映した。ユーロ圏は2024年に0.9%、2025年に1.5%とし、2024年上半期のサービス業の増勢と予想を上回る純輸出を原動力として、2023年(0.5%)から回復する見通し。日本の2024年の成長率は0.7%と、0.2ポイント下方修正した。これは、2024年第1四半期(1~3月)の主要自動車メーカーの工場の操業停止に関連する一時的な供給の混乱と、民間投資の低迷を反映したものだ。2025年の予測については1.0%に据え置いた。

2024年の新興市場国と発展途上国の成長率予測は、中国とインドの成長率の上方改定により押し上げた。中国の成長率は、第1四半期に見られた個人消費の回復と好調な輸出を主な理由として、2024年に5.0%(前回予測4.6%)と上方改定した。インドは、2023年の予想を上回る成長が継続するとの予測と、農村地域の個人消費の見通しの改善で、7.0%(前回予測6.8%)に上方修正した。

IMFは今回の見通しで、2024年初に見られた景気の勢いの差による各国間の経済成長の格差が若干縮小していると報告。世界の経済活動と貿易について、2024年に入って持ち直しているとし、貿易制限措置が急増する中でも世界貿易の対GDP比は安定的に推移すると予測した。IMFのピエール・オリビエ・グランシャ主任エコノミストは「世界のインフレ率は2023年の6.7%から2024年は5.9%に低下すると予測しており、ソフトランディングに向けておおむね順調に進んでいる」と述べている。

一方で、IMFは世界経済のリスク要因について警鐘を鳴らす。とりわけインフレについては、サービス価格の上昇がディスインフレ(物価上昇率の低下)の進展を妨げており、それが金融政策正常化への道筋を複雑にしている。貿易摩擦の過熱により政策の不確実性が増している状況下、インフレの上振れリスクが高まれば、高金利がより長期間にわたって維持され、経済の下押し圧力となる。また、IMFは、各国の選挙結果に起因する政策の不確実性がインフレリスクを高める可能性についても警告した。

(板谷幸歩)

(世界)

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