英与党・保守党、総選挙に向けたマニフェスト公表(英国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月12日 13時50分
英国の与党・保守党は6月11日、総選挙に向けたマニフェストを公表した(添付資料表参照)。
まず、経済成長に関する政策として、法人税の増税は行わないとした。また、企業の成長に必要なインフラ投資についても継続。大規模案件の承認にかかる期間の短縮などの施策も盛り込んだ。このほか、研究開発に対する投資額も増額、年間220億ポンド(約4兆4,000億円、1ポンド=約200円)を投じるとした。
対EU関係では、今後行われる通商・協力協定(TCA)の見直しにおいて、英国の主権を脅かすような内容などには合意しないとの姿勢を示した。米国に対しては、通商や安全保障分野での緊密な結びつきに基づき、特別な関係を維持するとした。対中関係では、国家安全保障の保護を強化、パートナー国と協調・連携し、国益に資する場合には関与するとした一方、人権侵害に関する懸念は引き続き表明するとした。
税制に関しては、国民保険料の従業員負担分について、2027年4月までに現行の8%から6%に引き下げるとしたほか、所得税やVAT(付加価値税)の引き上げは行わないとした。また、国家年金の支給額および年金受給者の非課税限度額について、インフレ率、賃金上昇率、2.5%のうち最も高い数値に合わせて増額するとした(トリプルロックプラス)。
不法移民に関しては、ルワンダへの移送を7月以降、毎月実施するとした。また、移民数に対して法的な上限を設定するとし、その上限についても毎年削減するとした。
ネットゼロの移行については、現実的な手法をとると表明。次の議会期において洋上風力の設備容量を3倍にし、さらに2つの炭素回収・貯留クラスターを設置するとしたほか、次期議会開会後100日以内に新型モジュール炉(SMR)2基を承認するとした。一方で、気候変動対応に伴う消費者、企業へのコストは削減するとし、新たな環境関連の賦課金の導入は行わず、消費者に対する既存の賦課金についても2023年に比べて確実に負担を低下させるとした。
今回のマニフェストで盛り込まれた減税の規模は年間約170億ポンドとされており、野党・労働党のレイチェル・リーブス影の財務相は、財政的な裏付けのない公約のリストであると批判している。
(山田恭之)
(英国)
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