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バルセロナ市、2028年11月までに民泊廃止の方針(スペイン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月5日 0時45分

スペインのバルセロナ市は6月21日、民泊ライセンスの新規発行を停止し、既存ライセンスの更新も行わないと発表した。将来的に観光宿泊施設のカテゴリーから民泊を取り消し、従来型宿泊施設(ホテル、ホステルなどの簡易宿泊施設、観光客専用アパート)の営業のみを認める方針だ。民泊のライセンスは2028年11月に全て失効する。欧州では初の試みという。市内には現在、従来型宿泊施設の約900軒に対して、約1万軒の正規民泊施設がある。宿泊施設全体の収容人数の約50%を民泊施設が占めている。

バルセロナでは2010年代以降の観光ブームで観光客が急増し、2014年ごろからオーバーツーリズム(観光公害)が社会問題化した。2015年にホテルの新規建設が凍結されたこともあり、増え続ける観光客の需要に対応して民泊が増えた。同市のジャウメ・コルボニ市長は、市内の賃貸価格は過去10年間で68%上昇したとして、今回の措置は住宅問題の解決につながると強調。「居住用住宅の観光客向けレンタルを廃止する」ことで、住宅供給の逼迫や住宅費高騰に対処するとした。

これに対して、民泊事業者協会(APARTUR)は「民泊施設はバルセロナの住宅総数の0.77%にすぎず、住宅問題の主要因ではない。合法的な営業活動を締め出すことは、違法な観光宿泊施設の増加につながる」と反論した。

国家統計局(INE)の2021年の統計によると、バルセロナ市の住宅総数(約81万戸)のうち、民泊は約1万軒で、空き家は8万戸近くある。2024年3月にはカタルーニャ州で賃貸住宅の家賃抑制措置が施行されており、バルセロナ市の賃貸住宅の供給は14%減少したとされる。外国人リモートワーカーの増加を背景に、外国からの不動産投資も活発化しており、外国人の住宅購入は2023年第1~3四半期(1~9月)に購入件数全体の22%を占め、2019年から7ポイント増加した。住宅逼迫と高騰の要因は民泊以外にもさまざまあると指摘され、今回の民泊規制の効果を疑問視する声も強い。

中央政府は6月27日、今回の措置を全面的に支持し、国としても民泊規制を後押しする意向を示した。国内の他の地域でも規制強化の動きがある。マドリード市は2024年4月に新規ライセンスの発行を一時凍結し、バレンシアやマラガなどもこれに続いた。島しょ部のバレアレス州では同年1月、州政府が旅行予約サイト「ブッキング・ドットコム」と共同で、違法民泊を廃止するための実証実験を行うと発表。カナリア州でも同年4月に州内の住宅の8~9割を居住用住宅に義務付ける法律を策定した。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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