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中国のサービス貿易額が過去最高を更新、外資の参入には課題も(中国、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月30日 0時40分

商務部は1月27日、2024年の中国のサービス貿易額が前年比14.4%増の7兆5,238億元(約158兆円、1元=約21円)で、過去最高を記録したと発表した。輸出は18.2%増の3兆1,756億元、輸入は11.8%増の4兆3,482億元で、貿易収支の赤字は314億元減少の1兆1,727億元となった。分野別にみると、旅行サービスの貿易額が最も拡大しており、38.1%増の2兆512億元(うち輸出が2.57倍、輸入が29.3%増)だった。輸出では、個人文化・娯楽サービス(39.3%増)、通信・ITサービス(12.2%増)、輸入では、個人文化・娯楽サービス(29.5%増)、知的財産使用料(8.7%増)などが大幅に伸びた。

中国政府は近年、サービス貿易の発展を促進するための各種施策を発表している。2024年9月には、「ハイレベルな開放によるサービス貿易の質の高い発展の促進に関する意見」を発表し、越境サービス貿易ネガティブリスト(2024年4月2日記事参照)管理制度を整備し、同リスト対象外の越境サービス貿易については、原則的に国内外のサービスおよびサービス提供者に同等の待遇を与えるとした(2024年9月10日記事参照)。

また、同意見では、安全で効率的かつ利便性の高いデータ越境移転を推進するほか、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定におけるサービス貿易関連の約束および関連規則の実施徹底や、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)などのハイレベルな国際経済貿易ルールを参照して国内のサービス貿易分野の改革を深化させる方針も示していた。

さらに、サービス貿易のうち、「デジタルで提供可能なサービス貿易(注1)」については、中国共産党中央委員会弁公庁と国務院弁公庁が2024年11月に「デジタル貿易の改革・発展に関する意見」を発表し、サービス貿易総額におけるデジタルで提供可能なサービス貿易の比率を2029年までに45%以上、2035年までに50%以上にすることを目標に掲げた(注2)。なお、同意見では、デジタル貿易の制度型開放を推進するとしており、外資によるデジタル分野への投資拡大を奨励し、外資企業の投資の利便性を向上させることや、データの域外移転に関する管理制度を整備し、秩序あるデータの域外移転を促進することを盛り込んでいた。

一方で、外資企業にとっては、サービス貿易の分野は参入が難しい分野も残されている。中国日本商会の「中国経済と日本企業2024年白書」によると、中国政府に対し、さまざまなサービス貿易の前提となる、データの越境・管理に関する問題について重点的に改善を求めているほか、データセンターやクラウドサービスなどの外資企業参入規制の全面的緩和、外資によるインターネットでの音楽配信サービスの運営などの参入規制の緩和、外商独資旅行社への中国公民に対するアウトバウンド業務の全面開放などについて、引き続き改善を求めている。

(注1)発表文書にあるデジタル貿易の定義は不明だか、記述から推測すると、デジタル化されたプラットフォームを通じて行われる財の貿易(越境ECなど)や、オンライン教育、遠隔診療など、オンラインを通じて提供されるサービス、通信・クラウドコンピューティング、衛星測位システムなどのサービス提供などが含まれるとみられる。

(注2)商務部の発表によると、2023年のデジタル貿易額は2兆7,193億元だった。中国のサービス貿易総額の41.4%に当たる。

(藤原智生)

(中国、日本)

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