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世界銀行、アフリカの鉄道投資による成長の可能性報告(ケニア、モザンビーク、ナイジェリア、アフリカ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月29日 0時50分

添付資料PDFファイル(84 KB)

世界銀行は7月19日、鉄道への投資がアフリカの都市をより持続可能なものにすると報告した。世界銀行は報告の中で、急速な成長を遂げるアフリカの都市化は経済拡大をもたらした一方で、自動車輸送需要の大幅な増加に伴い、慢性的な交通渋滞や通勤時間の長さ、交通事故の増加などの課題ももたらしたと指摘した。そうした中で、鉄道は効率的で手頃な価格の交通手段の提供と大気汚染対策により、住みやすい都市開発の一助になるとした上で、既に多くの都市で鉄道が敷かれているものの、その可能性を最大限に活用できていないアフリカでの鉄道への投資の可能性に言及した。

報告に先立って、世界銀行は6月13日に「アフリカの都市における都市鉄道回廊の開発」と題したレポートを発表しており、ナイジェリアのラゴス、モザンビークのマプト、ケニアのナイロビを例に、アフリカの都市鉄道の可能性と課題を報告している。上記3都市で貧困率や歩行者割合、非公式な交通機関(注1)の割合の高さが課題としており(添付資料表1参照)、スプロール現象(注2)が普遍的になっていると指摘している。3都市では住民の36%~46%が貧困ライン以下で(添付資料表2参照)、40%以上が自動車を交通手段に全く使用していない。低所得者は雇用や医療の選択が徒歩圏に限られ、中所得者でも料金の高いミニバスなどを利用しており、移動手段によって所要時間や費用負担が高く、安全性にも課題が残る。

そうした中で世界銀行は、既に貨物輸送用に敷かれている鉄道を旅客輸送用に転用し、駅周辺の商業ビルや住宅建設を支援する公共交通指向型開発(TOD、注3)と組み合わせて、都市回廊を形成することを提案している。既存の鉄道は都市の乗客サービス用に設計されていないため、路線のアップグレードや制御システム、車両への投資など大幅な改善が必要とし、そのために政府による他国や地方行政の調整や資金調達などの財政支援が不可欠と指摘している。

(注1)ミニバスやマタトゥ(乗り合いバス)を例に挙げている。

(注2)都市の無秩序な拡大。

(注3)持続可能な都市の成長と開発を促進するための主要な解決策の1つで、都市計画に取り入れることで経済開発、環境持続性、包括的な社会成長につながる。世界銀行グループは、これまでにコロンビア、中国、インドネシア、インド、ブラジル、ベトナムなどでTOD関連事業やアドバイザリーサービスを支援している。

(加藤皓人)

(ケニア、モザンビーク、ナイジェリア、アフリカ)

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