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米石油・農業関連団体などが、自動車排ガス規制の撤廃を求め政府を提訴(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月18日 1時15分

米国石油協会(API)などの業界団体と企業からなる連合は6月12日、米国の首都ワシントンのコロンビア特別区巡回区控訴裁判所に対し、米国環境保護庁(EPA)が2024年3月20日に発表した「2027年モデル以降のLDVとMDVに対する複数の汚染物質排出基準」(注)(2024年3月26日記事参照)の最終規則の取り下げを求め、EPAと同マイケル・リーガン長官を被告とする訴状を提出した。その中で、連合は「最終規則は、EPAの法定権限を超えており、独断的で、不安定であり、裁量権の乱用であって、法律に準拠していない」と訴えた。

EPAは最終規則において、LDVの二酸化炭素(CO2)の平均排出基準値を、最終年に当たる2032年モデルで、業界平均1マイル(約1.6キロ)当たり85グラム(85gpm)に決定。2023年4月に発表した規制案で定められた基準値である82gpmからは緩和したものの、2032年までに、全車に占めるプラグインハイブリッド車(PHEV)とバッテリー式電気自動車(BEV)の合計が最大で68%となるよう基準値を設定している。

連合に参加したのは、APIのほか、米国農業局連盟と全米トウモロコシ生産協会、自動車販売店16社。APIのライアン・マイヤーズ上級副社長兼法務顧問は、プレスリリースの中で「本日われわれは、消費者、米国の製造業労働者、そして苦労して勝ち取った米国のエネルギー安全保障を、この煩わしい政府義務化から守るために行動を起こす。(最終規則の施行により)10年足らずで米国市場からほとんどの新型ガソリン車と従来のハイブリッド車が排除されることになる」と述べた。

また、米国農業局連盟のジッピー・デュバル会長は「小型および中型トラックの非現実的な〔温室効果ガス(GHG)排出〕基準は、農業用車両に伴う支出を押し上げ、農家は農村部にまだ存在しない充電ネットワークに頼らざるを得なくなるだろう」と、コスト増に伴う不利益を強調。全米トウモロコシ生産者協会のハロルド・ウォル会長は「電気自動車のみに焦点を当てた排ガス基準を承認することで、EPAはトウモロコシから生産されるエタノールがGHG排出量の削減と気候変動対策に果たす実証済みのメリットを無視している。十分な数のEVを路上に走らせてGHG排出量を大幅に削減するには数十年かかる可能性があるが、エタノールは、今、利用できる重要かつ効果的な気候変動対策だ」と述べ対立する構えを見せた。トウモロコシの生産者らは、運輸省道路交通局(NHTSA)が2023年7月に発表した燃費規制案に関しても、見直しを求めるようジョー・バイデン大統領に書簡を提出している(2024年2月14日記事参照)

(注)LDVは、乗用車、小型トラックを含む、ライトデューティービークルのこと。MDVは、EPAが定めるクラス2bおよびクラス3の大型車両で、主に総車両重量定格(GVWR)が8,501~1万4,000ポンド(3,860~6,350キログラム)の大型ピックアップおよびバンが含まれる。当該車両には、これまで大型車の規制が適用されていた。

(大原典子)

(米国)

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