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中国商務部、新彊関連製品への差別疑惑で米アパレル大手に対する調査を開始(中国、米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月7日 16時5分

中国商務部は9月24日、「対外貿易法」「国家安全法」「反外国制裁法」などの関連法に基づき、「信頼できないエンティティー・リスト」業務機関(注1)が、関連組織からの提案や通報を受け、「信頼できないエンティティー・リスト」規定の第2条、第5条、第6条などの規定によって、米国アパレル大手PVHグループ(注2)に対し調査を行うと決定した旨の公告を発表した。

公告によると、同調査は、PVHグループが新疆ウイグル自治区関連製品について、正常な市場取引の原則に反して中国企業、その他の組織、個人との正常な取引を中断し、差別的な措置を取ったとの嫌疑に基づくものとなっている。

PVHグループには、公告の公布日から30日以内に同業務機関に対して、過去3年以内に新彊関連製品について差別的な措置を取るなどの問題があったか否かを示す文書や資料および調査機関が求めるその他の資料の提出が求められている。

同業務機関は当事者に対する質問や関連文書・資料の参照・コピー、およびその他必要な方法でPVHグループに対する調査を実施でき、同グループおよび関連企業はこれに協力しなければならないとされている。

また、調査期間中は、企業・個人からの関連情報の提供を受け付けるとともに、PVHグループも同業務機関に対して意見陳述や弁明の機会が与えられるとされている。

公告の公布日に商務部ウェブサイトに掲載された商務部産業安全輸出入管制局担当者の談話によると、今回の調査は、PVHグループが事実に基づく根拠がない状況で、正常な市場取引の原則に反して新彊産綿花などの製品を理由なく排斥し、関連する中国企業の合法的権益に重大な損害を与え、中国の主権、安全、発展の利益を損なった疑いがあると、関連組織が同業務機関に対して提言、通報したために実施したと説明した上で、今後は調査結果に基づき関連措置(注3)を取ると表明した。

他方、同報道官談話では、中国は「信頼できないエンティティー・リスト」の問題を一貫して慎重に処理しており、同リストは、市場のルールを破壊し、中国の法律に違反するごく一部の外国エンティティーに対してのみ適用するものだとも説明している。

なお、「信頼できないエンティティー・リスト」には、これまで主に台湾への武器売却に関与した米国の軍事関連企業が掲載されている(2023年2月20日記事2024年6月28日記事参照)。

(注1)「信頼できないエンティティー・リスト」規定第4条によると、「信頼できないエンティティー・リスト」業務機関は同リスト制度の実施のために中央国家機関の関連部門が参加するもので、事務局は国務院商務主管部門(商務部)に置かれている。同規定第5条によると、同機関は職権あるいは関係者からの提言や通報に基づいて外国エンティティーに対して調査を行うか否かを決定するものとされている(同業務機関の調査決定からリスト掲載までの流れなどの詳細は解説記事「『信頼できないエンティティー・リスト』制度の概要」参照)。

(注2)同グループは傘下にカルバン・クライン、トミー・ヒルフィガーなどの有名ブランドを有する。

(注3)「信頼できないエンティティー・リスト」規定第10条によると、「信頼できないエンティティー・リスト」業務機関は、同リストに掲載された外国エンティティーに対して、中国関連の輸出入の制限・禁止、中国域内への投資の制限・禁止、同エンティティーの関係者・輸送手段などの中国への入境の制限・禁止、同エンティティーの関係者の中国域内での就業許可や滞在・居留資格の制限・取消、情状に相当する額の罰金、その他必要な措置などを取ることを決定できる。

(小宮昇平)

(中国、米国)

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