新たな鉄道が開通、国内鉄道網の拡大や南北輸送回廊の整備進む(イラン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月27日 0時45分
イランの北部の都市ラシュトとカスピ海沿岸のアンザリ自由貿易・工業地域を結ぶ鉄道が6月20日、開通した。開通式には、ムハンマド・モフベル暫定大統領やメへルダード・バズルパーシュ道路・都市開発相、ロシアのシャヒン・ムスタファエフ大統領特別補佐官、アゼルバイジャンのイーゴリ・バブシュキン副首相らが出席した〔6月20日付イスラーム共和国通信(IRNA)〕。
開通した鉄道は建設費が30兆リアル(約1,140億円、1リアル=約0.0038円)で、全長は37キロメートルとなる。開通により既存の鉄道網と合わせて、同国北部のカスピ海から南部のペルシャ湾までの直接貨物輸送と、イランを経由して地域諸国への物資のやり取りを可能となる。直近でも、同国の鉄道経由で初めてロシアからインドに石炭が輸送されている(2024年6月25日付IRNA)。ロシアとアゼルバイジャンの政府要人が開通式に参列したのもその期待の表れだ。
同鉄道は最大輸送量700万トン、旅客輸送量60万人で、南北輸送回廊(注)の最後の区間となる。バズルパーシュ道路・開発相は「この鉄道の開通はイランの貨物輸送能力を大幅に向上させる歴史的な発展だ」と述べた。IRNAの報道によると、現在の同国の鉄道の輸送能力は100万トンから300万トンで、輸送能力拡大のため、インフラの強化が必要としていた。
近年、同国では地域および南北輸送回廊からの輸送収入を増やすため、輸送ネットワークを拡大している。2023年5月にロシアと全長162キロメートルのラシュトとアゼルバイジャンの国境付近のアスタラ間の鉄道建設を16億ユーロ相当で合意し、(2023年5月19日記事参照)13億ユーロはロシアから融資を受けている。他にも4つの鉄道のプロジェクトがあり、5つ合わせた全長は2,178キロメートルにもなる。IRNAでは、南北輸送回廊も含めた鉄道網の発達は、ロシアとの関係拡大(2024年6月12日記事参照)や、インドや中国との関係拡大につながるとしている。
(注)南北輸送回廊:イランなどを経由して、インドとロシアを結ぶ複合輸送網。
(加藤皓人)
(イラン)
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