1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

EVバッテリー製造の米アルティウム・セルズ、テネシー州工場での労組結成を承認(米国、韓国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月9日 13時0分

全米自動車労働組合(UAW)は9月4日、米国自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)と韓国のLGエナジーソリューションの合弁会社アルティウム・セルズ(本社:オハイオ州)のテネシー州スプリングヒルにあるバッテリーセル工場に勤務する従業員の50%以上が組合授権カード(注1)に署名し、会社側が組合を承認することに同意したと発表した。

同工場は、アルティウム・セルズのオハイオ州ローズタウン工場に次ぐ米国で2カ所目のバッテリーセル工場で(2021年4月19日記事参照)、2024年3月から、隣接するGMの組立工場(キャデラック「リリック」を生産)にバッテリーセルの納入を開始している。今回の組合結成は、2022年12月のローズタウン工場に続くもので、UAWによると、スプリングヒル工場の従業員1,000人はその決定を会社側に妨害されることなく、過半数以上の署名により結成を勝ち取ったという。

2023年11月に批准されたUAWとGMの労働協約において、アルティウム・セルズもその基本労働協約に加わるとともに(2023年11月2日記事参照)、安全衛生措置と熟練工をカバーする補足協約が適用されることとなった。ローズタウン工場では2024年6月、従業員約1,600人が初の地域補足交渉協約(local supplementary bargaining agreement)の契約批准に賛成票を投じている(2024年6月25日記事参照)。今回の発表の中で、UAWはこの批准を「電気自動車(EV)業界の新たな基準となる画期的な契約」と評し、「スプリングヒル、そしてテネシー州とケンタッキー州のフォードのブルーオーバル工場を含む南部全域で、間もなく稼働するバッテリー工場における何万もの新規雇用にとって強力な先例となる」と述べた。

一方、報道によると、アルティウム・セルズはニュースリリースの中で「われわれはこれが事業の継続性を支援し、技術革新を促進し、世界クラスの製造業を増強するものと信じている」と述べている(AP通信9月4日)。

UAWが2023年11月29日に、米国で組合を持たない自動車メーカー13社(注2)に勤務する約15万人の労働者向けに組合加入を促すキャンペーンを開始して以降(2023年12月8日記事参照)、米国南部を中心に組合結成に向けた動きが活発化している。(2024年2月2日記事2024年2月26日記事2024年3月12日記事参照)。2024年4月には、フォルクスワーゲン(VW)のテネシー州チャタヌーガ工場で、米国自動車大手3社(注3)以外の自動車メーカーの南部の工場としては初めて労働組合結成が結成された(2024年4月23日記事参照、注4)。

これに対し、南部6州の共和党知事らは警戒感を強めており、2024年4月にはUAWの労組結成運動に反対する共同声明を発表した(2024年4月23日記事参照)。また、ジョージア州やテネシー州、アラバマ州では、労働者の投票を経ない労組結成を制限する法案を成立させるといった動きもあり(2024年4月30日記事参照)、米国南部での労働組合をめぐる動きが引き続き注視される。

(注1)労働者が労働組合を交渉の際の代表として支持することを示す署名入りのカード。

(注2)日系のトヨタ、ホンダ、日産、スバル、マツダ、韓国系の現代、欧州系のメルセデス・ベンツ、BMW、VW、ボルボ、米国電気自動車(EV)メーカーのテスラ、リビアン、ルーシッドの13社。

(注3)ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ステランティス。

(注4)2024年5月には、アラバマ州にあるメルセデス・ベンツのタスカルーサ工場でもUAW傘下の労働組合結成の是非を問う従業員投票が実施されたが否決された(2024年5月21日記事参照)。

(横山華子)

(米国、韓国)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください