大豆やトウモロコシなど主要農産品の輸出税率を引き下げ(アルゼンチン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月30日 0時45分
アルゼンチンのルイス・カプート経済相は1月23日の記者会見において、大豆、小麦、大麦、グレーンソルガム、トウモロコシ、ヒマワリなどの主要農産品の課税する輸出税率を、6月末日まで期間限定で引き下げると発表した。また、地方都市の主要輸出品でもある、その他の農産品に関しては、期間を設けず完全に輸出税を撤廃する。
2025年1月27日付で公布され、同日に施行された政令38/2025号によると、砂糖、綿、牛皮革、羊毛、羊の原皮、飲料品、たばこ、林業関連品、コメ、落花生、加工食品など、約600品目以上の輸出税率が0%となる。対象品目は、同政令付属書I「ANEXO I」を参照。なお、大豆はこれまでの33.0%から26.0%に、大豆関連品は31.0%から24.5%に、小麦、大麦、グレーンソルガム、トウモロコシは12.0%から9.5%に、ヒマワリは7.0%から5.5%にそれぞれ輸出税率が引き下げられる。対象品目とそれぞれの税率は同政令の付属書II「ANEXO II」を参照。
政令によると、当該恩典を受けるための必須条件として輸出業者は、政令の施行日以降、輸出者があらかじめ登録する必要がある外国販売宣誓申告書(DJVE)を行ってから15営業日の間に、輸出取引額の95%に相当する外貨をアルゼンチン国内に入金しなければならない。
アルゼンチンにおける農産品輸出に対する課税は1960年に開始され、現在に至るまで廃止や再導入を繰り返してきた。直近では2002年に発生した経済危機の際に再導入され、以降は税率を変更しながら継続されている。
政府は、今回の輸出税率引き下げ理由として、降雨不足、農産物の国際価格の下落などによる農業における損失を挙げた。そのうえで、短期的な輸出の増加だけでなく、長期的な輸出拡大にも必要な措置だと説明する。1月23日および27日付の複数の現地紙によると、輸出税の撤廃がハビエル・ミレイ大統領の選挙公約だったため、農業セクターから強く歓迎されたとしたほか、外貨準備高を増加させるために早期に農産物輸出による外貨流入を促す必要があったことや、2025年に実施される中間選挙を前に、農業セクターからの支持を失わないための決定だった、と報じられている。アルゼンチン農業連盟(FAA)は、今回の措置は厳しいコスト上昇を軽減するが、根本的な状況の改善にはならないとする不満も伝えている。6月以降に再び税率が上がるのか、または徐々に引き下げられるのか、明確なルールを提示してほしいと訴える事業者からの声もあがっている。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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