ファーウェイの自動運転技術分野の特許出願内容が公開(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月2日 0時40分
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が出願した「車両制御方法および装置」の特許(発明)の出願内容が、6月14日に国家知識産権局の専利検索サイト上で公開された(注1)。
同公開内容によれば、「車両制御方法および装置」(以下、「同技術」)は、自動運転技術分野において、運転者の状態情報に基づき自動運転モードを柔軟に設定するもの。具体的には、ドライバーモニタリングシステムを通じ、運転者の状態情報として、頭部の姿勢、視線角度、あくびの頻度、目を閉じた時間の長さから、運転手の集中力と疲労の程度を判断。ハンズオフおよびアイズオフ(注2)のレベルを評価する。当該レベルに応じて運転モードを調整し、調整後の運転モードに基づき車両を制御する。運転者の状態情報は、ドライバーモニタリングシステムに加え、音声情報、画像情報、ニューラルネットワークモデル(注3)など各種技術の組み合わせから取得するほか、ウェアラブル端末や車載設備などと連動した取得も可能となっている。
また、「同技術」の特筆すべき点は、運転者の状態情報に基づき自動運転モードが柔軟に設定される点だ。運転者の注意力が一時的に分散する際に、ただちに自動運転モードを終了する(手動運転モードに切り替わる)のではなく、相対的に慎重な自動運転方式を取りつつ自動運転モードの有効状態を保つことで、ユーザーの自動運転体験の向上につながる。
なお、当該出願内容によれば、「同技術」は、レベル2からレベル3(注4)の自動運転技術による運転シーンへの適用を想定している。
(注1)中国では専利法によって、国務院専利行政部門が発明特許の出願受領後、初歩的審査により同法の要求に合致していると認めた場合、出願日から18カ月後に出願内容を公開すると規定されている。なお、「専利」とは、日本の特許(発明)、実用新案、意匠に当たる。
(注2)ハンズオフとは、運転中にハンドルから手を離すことができる技術。アイズオフとは、ドライバーによる周辺監視が不要で運転中に前方から目を離すことができる技術。
(注3)人間の脳内にある神経細胞(ニューロン)のネットワークを模倣し、複雑なデータから自動的にパターンや特徴を学習する機械学習のモデルプログラムを指す。
(注4)自動運転車両の分類については、中国の国家標準「自動車運転自動化分類」で、レベルゼロからレベル5まで6段階で定義している。うち、レベル2は「部分的自動運転」、レベル3は「条件付き自動運転」。
(陳貝蓓)
(中国)
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