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米下院共和党議員団、中国バッテリーメーカーの製品輸入禁止を求める書簡を送付(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月7日 13時0分

米国連邦議会下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委)」のジョン・ムーレナー委員長(共和党、ミシガン州)ら共和党下院議員団(注1)は6月6日、中国の電気自動車(EV)用などバッテリーメーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)および合肥国軒高科動力能源(ゴーションハイテク)が人権侵害に関与しているとして、国土安全保障省(DHS)に対して、これら企業が製造する製品の米国への輸入禁止を求める書簡を送付した。

米国では、強制労働などを利用して製造された物品の輸入を禁止する1930年関税法307条や、中国の新疆ウイグル自治区で生産された物品または特定の事業体が製造に関与した物品は強制労働を利用して製造されていると推定し、その輸入を禁止するウイグル強制労働防止法(UFLPA)が施行されている。

今回の書簡によると、議員団は、CATLとゴーションの両社が、UFLPAに基づく特定の事業体のリスト「UFLPAエンティティー・リスト」に掲載されている新疆生産建設兵団(XPCC、注2)に関連する企業などからリチウムイオンバッテリーの原材料などを調達しているとして、製品のサプライチェーンを通じて間接的に人権侵害に加担していると問題視した。その上で議員団はDHSに対し、両社をただちに同リストに掲載し、両者製品の米国への輸入を禁止するよう求めた。仮にDHSが両社を同リストに追加掲載しない場合には、議員団はDHSにその決定を下した理由についての説明を求めるとした。

今回の書簡には、UFLPAに基づいて貨物の輸入を差し止めるなどの法的な強制力はない。ただし、DHSは2023年8月にUFLPA執行戦略を更新した中で、リチウムイオンバッテリーや自動車部品などを監視する重要性を指摘しているほか(2023年8月3日記事参照)、連邦議会上院の民主党議員は2024年5月に、米国で事業展開する複数の大手自動車メーカーがUFLPAエンティティー・リストに掲載される企業から部品を調達していたとする報告書を発表するなど(2024年5月22日記事参照)、自動車サプライチェーンの強制労働リスクを問題視する動きが続いている。

なお、米国税関・国境警備局(CBP)が公表するUFLPAの執行データ(2024年5月1日時点)によると、2022年6月のUFLPA施行以降、33億2,000万ドル相当の8,465件の貨物が差し止められた。そのうち46%の貨物は許可、40%は否認、15%は保留(注3)となっている。産業別に差し止められた貨物をみると、ポリシリコンを原材料に使用する太陽光発電モジュールなどのエレクトロニクスが28億6,774万ドル相当の4,323件と、金額・件数ともに最多となっている。自動車・航空宇宙分野は434万ドル相当の71件で、執行実績全体に占める割合は現時点では大きくない。

(注1)ムーレナー議員のほか、マルコ・ルビオ上院議員(共和党、フロリダ州)、マーク・グリーン下院議員(共和党、テネシー州)、カルロス・ヒメネス下院議員(共和党、フロリダ州)、ダリン・ラフード下院議員(共和党、イリノイ州)。

(注2)UFLPAエンティティー・リストには2024年6月時点で65企業・団体が掲載される(2024年5月20日記事参照)。なお、XPCCは、金融制裁対象の特別指定国民(SDN)、輸出管理規則(EAR)に基づくエンティティー・リストにも指定されている。

(注3)輸入者は、CBPが差し止めを通知した日から30日以内に異議を申し立てることができる。保留は、輸入者が異議の申し立てまたはCBPが異議の審査を行っている段階で、その後に許可または否認に最終決定される。なお、許可・否認・保留の割合はそれぞれ小数点第1位を四捨五入しているため、合計値は100%にならない。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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