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11月の米雇用統計、労働市場の緩やかな減速傾向の継続確認(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月9日 13時10分

添付資料PDFファイル(194 KB)

米国労働省は12月6日、11月の雇用統計を発表した。ハリケーンやボーイングのストライキといった10月の特殊要因の剥落に伴って、労働市場の基調が明らかとなった。全体としては、労働市場の緩やかな減速傾向の継続を示す内容となっている。

就業者数(前月差35万5,000人減)、失業者数(同16万1,000人増)、労働参加率(62.5%、前月から0.1ポイント低下)を踏まえた失業率は4.2%と、前月から0.1ポイント上昇し、市場予想と一致した(添付資料表1、図1参照)。非自発的にパートタイムを選択している者などを加えた広義の失業率(注)も、7.8%で前月から0.1ポイント上昇したほか、平均失業期間が長期化の傾向にあるなど、求人環境の悪化がうかがえる。

非農業部門の雇用者数の伸びは、前月の特殊要因の剥落に伴い、22万7,000人増と高めの伸びとなり、市場予想(20万2,000人増)を上回った。ただし、ハリケーンの影響をならすために3カ月移動平均でみると、11月は17万3,000人増と、2024年初と比較すると低い水準にある。なお、10月の数値は1万2,000人増から3万6,000人増に、9月の数値は22万3,000人増から25万5,000人増にそれぞれ上方改定された。

新規雇用者数増の内訳をみると、民間部門は19万4,000人増、政府部門は3万3,000人増。民間部門では、財部門が3万4,000人増で、建設業(1万人増)、製造業(2万2,000人増)ともに、プラスとなった。製造業は、前月からの反動増により、航空機などの輸送機器が3万2,000人増と、押し上げ要因の大部分を占めたが、それ以外の業種の伸びは弱い。

サービス部門は16万人増で、ヘルスケアを中心とした教育・医療(7万9,000人増)が半分を占め、そのほかは飲食店などの娯楽・接客業(5万3,000人増)、対事業所サービス(2万6,000人増)、保険会社などの金融(1万7,000人増)が押し上げ要因となった。他方、小売業などの商業・運輸・倉庫業(2万3,000人減)はマイナスだった(添付資料表2、図2参照)。

平均時給は35.6ドル(前月35.5ドル)で、前月比0.4%増(前月0.4%増)、前年同月比4.0%増(前月4.0%増)だった。市場予想は前月比0.3%増、前年同月比3.9%増だった。業種別にみると、前年同月比では、対事業所サービス(5.2%増)、情報業(4.8%増)などの伸びが目立つ。求人・求職倍率は1.1と、ほぼ新型コロナウイルス感染拡大前の水準に回帰しているが、賃金の伸びは高止まりしており、両指標の乖離が今後も継続するのかどうかは注目だ。

今回の結果は、労働参加率の低下にもかかわらず、失業率が上昇したほか、3カ月移動平均でみた場合の雇用者数の伸びが年初と比べて低水準にとどまるなど、ハリケーン前と同様、労働市場が緩やかな減速傾向にあることが確認されたといえる。このため、12月17~18日に行われる連邦公開市場委員会(FOMC)では、利下げが継続される可能性が高そうだ。

(注)失業者に加え、「現在は仕事を探していないが、過去12カ月の間に求職活動を行った者」と「フルタイムを希望しているものの、パートタイムで妥協している者」を合わせて算定した数値。

(加藤翔一)

(米国)

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