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米ディスカウント大手ビッグ・ロッツ、破産法第11章の適用を申請、消費財分野の倒産件数は上昇傾向(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月18日 0時30分

米国ディスカウント大手のビッグ・ロッツ(本社:オハイオ州コロンバス市)は9月9日、米連邦破産法第11章(Chapter 11、日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。発表によると、投資会社ネクサス・キャピタル・マネジメントが同社の資産や事業運営を実質的に全て買収する方向だ。買収が当局に承認されるまでの間、店舗と電子商取引(EC)サイトの運営は続けるが、292店舗を閉鎖することなどにより、店舗運営の最適化を進める。

全米47州に1,400店舗を展開するビッグ・ロッツは、国内最大級のクローズアウト・リテーラー(注)で、家庭用品全般をバーゲン価格で提供することに特化している。2023年度の売上高は約47億ドルに達したが、最近は高金利やこれに伴う住宅市場の低迷により、新たに家具や家庭用品を購入する消費者の購買意欲が鈍化したことを受け、業績悪化が続いていた。

家計の逼迫で消費者は支出に一段と慎重になっている。特にビッグ・ロッツの主要顧客の低所得者層の間では、新型コロナウイルス禍の時期に積み立てた余剰貯蓄の枯渇などの影響で裁量的支出を抑制し、支出先を絞り込む姿勢が強まっている。低価格商品を販売するディスカウント店での消費は2022年7月以降、全体としては小売り全体の支出を上回るペースで伸び続けているものの、家庭用品なども取り扱うウォルマートなど大手小売り各社との値下げ競争も激化しており(2024年8月23日記事参照)、ディスカウント店の間でも他社との差別化に苦戦する企業の業績は悪化している。

調査会社グローバルデータのマネジングディレクターのニール・サンダース氏は、ビッグ・ロッツには2つの問題があったと指摘した。1つは、選別志向が増えた消費者を引き付けるコストパフォーマンスが提供できなかったこと。もう1つは、同社の品ぞろえは選択肢が多いわりに掘り出し物が少なく、多くの競合他社が顧客に買いたいと思わせるバーゲンセールをより効果的に展開する厳しい市場にいたことを挙げた(「リテールダイブ」9月9日)。

米国では景気後退の懸念が高まる中、多くの企業が苦境に立たされており、企業の倒産件数は上昇傾向にある。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると、8月の米国企業の倒産件数は63件で、2024年初から8カ月間の倒産件数としては、2020年以来の高水準となった。業種別にみると、同期間の累計倒産件数では、小売りを含む一般消費財が69件と最多で、主に裁量的な商品を販売する企業の倒産が目立っている。

(注)小売店の閉店などで出る見切り商品の販売に特化した小売業者。

(樫葉さくら)

(米国)

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