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米商務省、ベトナムの非市場経済国指定を維持、AD・CVD算定に影響(米国、ベトナム)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月5日 13時40分

米国商務省国際貿易局(ITA)は8月2日、ベトナム製品に対するアンチダンピング関税(AD)や補助金相殺関税(CVD)の算定に際し、ベトナムの「非市場経済国」指定を維持する最終決定をしたと発表した。

AD・CVDはWTO協定で認められた貿易救済措置の一種だ。ADは、輸出国の国内価格よりも低い価格による輸出(ダンピング輸出)が輸入国の国内産業に損害を与えている場合に、その価格差(ダンピングマージン)を相殺する目的で賦課される。CVDは、政府補助金を受けて生産などされた貨物の輸出が輸入国の国内産業に損害を与えている場合に、当該補助金の効果を相殺する目的で賦課される。また、非市場経済国は、米国が「原価や価格設定の市場原理が機能しておらず、当該国における製品の販売がその製品の公正な価値を反映していない」と判断した国を指す。非市場経済国の製品に対してAD・CVDを算定する際、対象製品と同等の製品を生産している経済発展度合いが同等の国の原価や価格を用いることができるため、一般的にダンピングマージンなどは高く計算される。米国は8月時点でベトナムを含めて12カ国(注)を非市場経済国に指定している。

米国・ベトナムの両国関係は、2023年9月のジョー・バイデン大統領のベトナム訪問時に「包括的戦略パートナーシップ」に格上げされている(2023年9月12日記事参照)。米国議会調査局(CRS)によると、ベトナム政府は、非市場経済国の指定が両国の緊密な関係を阻害する可能性があるなどとして、米国政府に指定解除を求め、ITAは同年10月に見直しを開始していた(2024年6月27日記事参照)。

ITAは発表で、ベトナム政府や米国内産業界から提出された3万6,000ページ超のパブリックコメントを評価した上で最終決定したとした。また、ベトナムは過去20年間に実質的な改革を行ったと評価した一方、ベトナム経済への同国政府の広範な介入により、ベトナム製品の原価と価格がゆがめられ、米国のAD・CVDを算定する目的には使用できなくなっていると結論づけた。

なお、ITAは5月以降、ベトナムを含む東南アジア4カ国製の太陽電池について、AD・CVDの発動要否を判断する事実確認調査を行っている(2024年5月22日記事参照)。仮に調査を通じて発動に肯定的な判断がされた場合には、今回の最終決定により、引き続き、ベトナムと同等の製品を生産している経済発展度合いが同等の国の原価や価格がAD・CVDの算定に用いられる可能性がある。

(注)ベトナムのほか、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、中国、ジョージア、キルギス、モルドバ、ロシア、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン。

(葛西泰介)

(米国、ベトナム)

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