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控訴院、人権や環境に関する注意義務法違反で控訴審への道開く(フランス)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月26日 1時5分

パリ控訴院は6月18日、石油大手トタルエナジーズとフランス電力(EDF)に対し、人権や環境に関する注意義務法2021年6月10日付地域・分析レポート参照)違反としてNGOや自治体が行った控訴を受理した(プレスリリース)。同控訴院はこれら2件の提訴事案で手続き上の理由で却下した第一審の判決を覆し、審理への道を開いた。

2017年3月施行の同法は、連続する2年の会計年度で(1)フランス国内に本社があり、直接・間接の子会社を含めて合計5,000人以上の従業員を雇用している企業、または(2)フランス国内外に本社があってフランス国内で活動し、全世界で直接・間接の子会社を含めて合計1万人以上の従業員を雇用している企業に、人権や環境への注意義務(デューディリジェンス)に関する計画書の作成と同計画の実施を義務付けている。

パリ市や米国ニューヨーク市など15の自治体とNGOによる気候変動に関するトタルエナジーズに対する提訴は、召喚状の請求と催告状の内容が厳密に同一ではなく、対話が欠如し、同社が充分に警告を受けていなかったとして、第一審では却下されたが、同控訴院は充分に警告されていたと判断した。ただし、地方自治体の訴権を制限し、「自治体の権限は行政を行う地域に限られ 、その地域の温暖化を無差別に受けているという状況だけでは十分ではない」として、パリ市以外の自治体は原告として認めなかった。

メキシコの風力発電所建設での先住民族の人権侵害を理由としたEDFに対する提訴は、召喚状と催告状で「注意義務に関する計画書」が異なるとして、第一審では却下されたが、同控訴院は、注意義務法は対象とする計画書が同一でなければならないとしていないと判断した。

一方で、同控訴院は、ビジー・グループ(旧スエズ・グループ)への控訴では、「注意義務に関する計画書」を親会社のスエズが作成、実施しているが、計画書の修正を求める召喚状はスエズ・グループに送付されており、催告と召喚状の対象企業が異なるとして却下した。

パリ控訴院は2024年1月に、注意義務や環境責任を専門に扱う法廷を新設した。パリ司法裁判所から2023年12月5日に注意義務法違反の有罪判決を受けたフランス郵政公社(ラ・ポスト・グループ、2023年12月15日記事参照)は2024年3月11日、「注意義務法の解釈と適用に関し、事実上および法的に批判の余地がある」とし、「専門の法定で裁かれることが有益」として、控訴すると発表した(ラ・ポスト・グループ発表、フランス語)。

(奥山直子)

(フランス)

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