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下院もオムニバス法案を承認、経済安定化計画は第2段階へ(アルゼンチン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月2日 13時15分

アルゼンチン下院は、「アルゼンチン人の自由のための基盤および出発点に関する法律」(通称:オムニバス法または基盤法、2024年6月17日記事参照)と税制改革法の審議を行い(2024年6月18日記事参照)、2024年6月28日未明に両法案を承認した。その結果、ハビエル・ミレイ政権発足から6カ月が経過して初めて、法律が成立した。

両法案は、4月30日に下院を通過、6月13日に上院を通過していたが、上院で法案が修正されたため、再度下院で審議された。下院での審議の結果、税制改革法案は、上院で削除された個人所得税と個人資産税の章が復活し、前者の非課税下限額は引き上げ、後者の非課税下限額は引き下げられることとなった。

オムニバス法案は、国有企業であるアルゼンチン航空、コレオ・アルヘンティーノ(郵便)、アルゼンチン・ラジオ・テレビ国営放送(RTA)が民営化の対象から除外された上院案の内容で承認された。

大型投資奨励制度(RIGI)も上院で修正された内容で承認されており、対象産業が全産業から林業、観光、インフラ、鉱業、技術、製鉄、エネルギー、石油・天然ガスに限定された。また、投資額の20%相当額を現地サプライヤーに発注する義務が追加され、輸出代金の国内還流義務についても、事業開始から2年経過後は輸出代金の20%、3年経過後は40%、4年経過後は100%が免除対象とされた。その他、RIGIの適用対象が同制度を承認する自治体のみに限定されたことで、例えば、北部ラ・リオハ州は、RIGIを承認しないと既に報じられている。

オムニバス法案の国会での可決を受け、ルイス・カプート経済相とサンティアゴ・バウシリ中央銀行総裁が6月28日、記者会見を行った。カプート経済相は、政府の経済安定化計画が第2段階に入ったと述べ、自国通貨ペソの主要な供給源を財政赤字、中銀の有利子負債の利払い、中銀による外貨購入の3つと特定し、今後は中銀の有利子負債と利払いの削減に取り組むとした。バウシリ総裁は、政府の財政赤字を補填(ほてん)するために膨れ上がった中銀の有利子負債を財務省に移転することで中銀のバランスシートを健全化し、ペソの対ドル為替レートの裏付けを強固なものにするとした。

第3段階は資本取引規制の解除だが、経済相は、条件が整えば解除するが時期は未定とした。同相はその他、外貨購入時に課税される「社会的包摂の促進と資金調達のための外貨購入に係る税」(通称パイス税)を2024年8月か9月に引き下げる見通しであること、輸出代金のペソへの両替に適用されるブレンド・ドルと呼ばれる為替レート(公式為替レート8割、CCL取引レート2割の比率)を維持することを明らかにした。公式為替レートについても、月2%の通貨切り下げのリズムを維持するとして大幅な通貨切り下げを否定した。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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