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米国土安全保障長官が繊維業界団体と会合、少額貨物の取り締まり強調(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月2日 0時45分

米国国土安全保障省(DHS)は7月26日、アレハンドロ・マヨルカス長官が全米繊維団体協議会(NCTO)の幹部と同月23日に会談したと発表した。

DHSの発表によると、マヨルカス長官はNCTOに対し、米国の貿易関連法を執行し、違法な繊維製品の輸入を取り締まる重要性を強調した。また、政権と政府機関、連邦議会と緊密に協力し、不公正で違法な少額貨物の取り締まりに取り組むことを表明した。NCTOはマヨルカス長官に対し、国際的なサプライチェーンを悪用する事業者による不公正貿易など、米国の繊維産業が直面する問題を報告した。また、2024年4月に発表されたDHSの繊維産業の不公正貿易の取り締まり強化に向けた行動計画(2024年4月15日記事参照)を評価した。行動計画では、不公正貿易の取り締まり強化に向けて、少額貨物のスクリーニング改善やウイグル強制労働防止法(UFLPA)の執行強化など、6つの対策を挙げていた。

少額貨物に関しては、通関手続きが簡素化される特例制度(デミニミスルール)が悪用され、取り締まるべき物品が不正に輸入されているのではないかと問題視されている。連邦議会下院のマイク・ジョンソン議長(共和党、ルイジアナ州)は7月に、2024年内にデミニミスルールの法改正を目指すなどと述べている(2024年7月10日記事参照)。マヨルカス長官も7月にデミニミスルールについて、「与えられた権限の範囲内で取り締まり強化に取り組んでいるが(注)、最終的には法的な権限の拡大が必要だ」として、法改正の必要性を訴えていた(2024年7月11日記事参照)。実際に議会では、(1)中国やロシアに対するデミニミスルール適用を停止する法案(2023年6月26日記事参照)、(2)米国が貿易制限措置を講じている製品に対するデミニミスルール適用を停止する法案(2024年4月22日記事参照)、(3)デミニミスルールを適用する基準額(申告額800ドル以下)を国・地域ごとに設定する法案、(4)デミニミスルール適用に関する情報収集を強化する法案などが上下院に複数提出されている。

中国の新疆ウイグル自治区などが関与する製品の輸入を禁止するUFLPAに関しては、執行強化の動きが続いている。DHSが所管する強制労働執行タスクフォース(FLETF)は2024年5月に中国の繊維企業26社を輸入禁止対象の事業者リストに追加したほか(2024年5月20日記事参照)、6月に中国の水産品企業など3社を同リストに追加した(2024年6月12日記事参照)。通商政策に詳しい米国のホワイト&ケース法律事務所は、UFLPA執行強化の動きを受けて「FLETFは当分の間、同様のペースで事業体リストに企業を追加し続けると思われる」と指摘している。UFLPAの最新情報はジェトロのUFLPA特集サイトも参照。

(注)例えば、DHSが所管する税関・国境警備局(CBP)は2024年5月に、コンプライアンス上の懸念を理由に、複数の通関業者のデミニミスルールに基づく電子申告の利用資格を停止した(2024年6月4日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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