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米財務省、人権侵害理由に中国政府幹部を制裁対象に、米中高官会談直後に発動(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2021年3月23日 16時0分

米国財務省は3月22日、中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害を理由に、中国政府の幹部2人を制裁対象となる特別指定国民(SDN)に指定した。バイデン政権下で初となる米中外交トップの会談直後の制裁発動となった。

米中両国はバイデン政権下で初の政府高官による対面での会談を3月18、19日に米アラスカ州で開催した。米国側はアントニー・ブリンケン国務長官とジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)、中国側は楊潔篪共産党政治局員、王毅国務委員兼外交部長が参加した。両国はメディアを入れた冒頭発言で、1時間以上にわたる異例の非難合戦を繰り広げ、トランプ前政権以降に深まった対立関係が平行線をたどっていることを印象付けた。会談直前にバイデン政権が香港自治法に基づき中国と香港の政府関係者24人をSDNに指定したことも、緊張関係を高めたとみられる。会談後も両国による共同声明の発表はなく、個別に記者会見を行うにとどまった。

ブリンケン国務長官は記者会見で「新疆(ウイグル自治区)や香港、チベット、台湾、また、サイバー空間での中国による行動を含めて、数多くの点でわれわれは根本的に意見を異にすることを確認した」とし、経済や通商分野でも「議会や同盟・友好国との緊密な相談を踏まえて、これらの問題を見直していることを中国に伝えた」とした。他方で「イランや北朝鮮、アフガニスタン、気候変動など互いの関心が重なる分野について、率直な会話を行うことができた」と、今後の協力が可能な課題も示唆した。

財務省による今回の制裁はこの会談直後の22日に発動された。具体的には、中国共産党の新疆生産建設兵団(XPCC)の王君正(Wang Junzheng)共産党委員会書記と、新疆公安局の陳明国(Chen Mingguo)局長の2人について、グローバル・マグニツキー人権問責法(注1)と同法を根拠とする大統領令13818に基づきSDNに指定した。SDNに指定された人物の米国内に保有する資産を凍結するほか、それら人物が保有する資産に関する米国人(注2)による(または米国を経由する)全ての取引を禁止する。SDNに指定された人物が直接または間接的に50%以上を所有する事業体も同じ制裁の対象となる。ブリンケン国務長官も今回の制裁に関して、英国やカナダ、EUと結束した行動であることを強調し、「人権の尊重を促進するとともに、中国政府と中国共産党の中でこれらの残虐な行為に責任のある者を世に知らしめるために、多国間で協働していることを示すものだ」との声明を出している。同日には、米国のほかカナダ、英国の外相が新疆ウイグル自治区での中国政府による人権侵害を非難する共同声明を発表している。

トランプ前政権も同自治区での人権侵害を理由に、そこで生産された綿やトマト製品の輸入留保や(2021年1月15日記事参照)、中国政府に加担していると特定した中国企業を輸出管理規則上のエンティティ・リストに追加(2020年7月21日記事参照)するなどの制裁措置を発動してきたが、バイデン政権としては今回が初の対中措置となる。

(注1)2016年成立の米国法で、国籍を問わず、人権侵害や汚職に関与していると特定された外国人に対して、経済制裁や米国への入国拒否を行う権限を大統領に与える法律。

(注2)米国市民、永住者、米国の法律または米国内の管轄権に基づいて組織された事業体(外国支社も含む)、または米国内にいる個人が含まれる。

(磯部真一)

(米国、中国)

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