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IMF理事会が拡大信用供与措置第8回レビューの結果を承認(アルゼンチン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月28日 0時10分

添付資料PDFファイル(78 KB)

IMF理事会は2024年6月13日、拡大信用供与措置(EFF)第8回レビューの結果を承認したと発表した。その結果、アルゼンチン政府は、IMFから6億SDR(約8億ドル)の融資の払い込みを受けることができる。

IMFは、四半期ごとに設定されている定量的履行基準は、すべて余裕をもって達成されたと評価したうえで、今後は、財政収支の質を改善し、経済成長、正規雇用の増加、投資の拡大につながる改革を実施する必要があるとした。

財政収支の質の改善については、個人所得税の改革、補助金と財政支出の合理化、歳出管理の強化、税制、年金制度、歳入分配制度の改革をさらに進めることが重要とした。実際、政府は、オムニバス法案(注)を通じて、個人所得税の課税ベースの拡大を目指すなど、改革を進めようとしている(2024年6月18日記事参照)。

経済成長のための改革については、競争力向上、労働市場の柔軟性向上、投資制度の予見可能性向上を目的とした改革案は正しい方向への一歩とし、オムニバス法案で政府が実現しようとしている労働制度の近代化、大型投資奨励制度(RIGI)などを評価した。

アルゼンチン経済省と中央銀行も同日に声明を発表。今回払い込みを受ける額は、EFFによる支援の下での最後の返済である7月のIMFへの返済額を上回るものであり、2026年9月までの間はIMFへの元本返済がないことを明らかにしている。

IMFは、6月17日にEFF第8回レビューのスタッフレポートを公表した。同レポートによると、2024年5月29日時点の中央銀行の外貨建て流動資産は、およそマイナス44億ドルで、マイナス幅が2023年12月7日時点から約110億ドル縮小した(添付資料表参照)。その主因としては、貿易黒字と輸入債務の整理が挙げられている。IMFによると、2024年4月末時点の輸入債務、未配当の配当金は約210億ドルで、うち170億ドルが輸入債務、40億ドルが未分配の配当金となっている。このうち、2023年12月12日以前に輸入通関された財、サービス(いわゆるレガシー輸入)の未払い輸入代金約83億ドルと未配当の配当金約18億ドルが、ドル建て中銀債「自由アルゼンチン再建債(BOPREAL)」の発行により整理された。また、2023年12月13日以降に通関された財、サービス(いわゆる新規輸入)は、通関やサービスの提供から一定期間が経過した後に支払いが可能となっており、その債務残高は71億ドルとされている。IMFは、BOPREALや新規輸入に関する輸入代金支払いの先送りが、中銀のキャッシュフローを大幅に改善させ、貿易黒字の蓄積と相まって、外貨準備高の蓄積に成功したと評価している。

また、IMFによると、資本取引規制は、状況が許す限り早期に解除することが望ましいとしつつ、そのためには外貨準備高のさらなる蓄積が必要との認識を示した。そして、為替レートの一本化、資本取引規制の解除に向けて、アルゼンチン政府は、6月末までに輸出優遇為替レートを、2024年末までにパイス税を廃止することを約束したとしている。ただし、アルゼンチン政府は、この政府の約束を否定している。

(注)ハビエル・ミレイ政権によって提示された、経済改革、緊縮財政を目的とする「アルゼンチン人の自由のための基盤および出発点に関する法律」の通称。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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