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ドミニカ共和国セミナー、米国市場ニアショアリング先としてのメリットを説明(ドミニカ共和国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月13日 16時25分

ジェトロは6月12日、ドミニカ共和国におけるビジネス環境や、同国のフリーゾーンの制度について紹介するセミナーを開催した(注)。同セミナーには、国家フリーゾーン輸出理事会広報担当のシルビア・コチョン氏、ドミニカフリーゾーン協会(AOZONA)副理事長のホセ・トーレス氏、矢崎ノースアメリカ副社長の本林格氏、ジェトロ・サンパウロ次長の宮本敏央氏が登壇した。登壇者は、同国へ進出するメリットについて、米国に近接した地理的優位性と同国との自由貿易協定(FTA)活用、安定したマクロ経済と政治情勢、フリーゾーンによる各種免税、迅速な許認可など北米市場のニアショアリング先(北米の消費地に近い)としてのポテンシャルの高さを説明した。

セミナー冒頭、宮本氏がドミニカ共和国の政治経済情勢について解説した。経済規模について、名目GDPは中南米で8番目、1人当たりGDPは1万ドルを超えると説明した。さらに2003~2004年の経済危機以降、成長率の年平均が5.4%で右肩上がりに増加しており、IMFによる2024年の経済見通しでは、中南米カリブ地域で1位の5.2%と予想されている。インフレ率についても、2023年は中央銀行ターゲットを下回る3.57%を記録し、「2010年以降、インフレをうまくコントロールしている国」と述べた。外交面では、伝統的に親米路線で、中国の支援実績が比較的少ないのが特徴だ。地理的な優位性についても、ニューヨークから4時間、マイアミから2時間半、メキシコ市から4時間半の場所に位置しており、米州の国々にアクセスしやすい地理的な優位性がある。日本との関係については、2024年は外交樹立90周年を迎える年で、進出日系企業数は17社に上る。

コチョン氏とトーレス氏は、同国のフリーゾーン(自由貿易地区)について説明した。同国のフリーゾーンは820社の企業が利用し、87カ所の工業団地がある。インセンティブとして、法人税、付加価値税(ITBIS)、輸入税、輸出税・再輸出税、市税などが100%免除され、15年ごとに更新が可能だ。また、ドミニカ共和国は米国・中米諸国・ドミニカ共和国自由貿易協定(CAFTA-DR)を締結しており、米国への輸出に際して同国の輸入関税が免除される品目があるのも利点だ。フリーゾーン内で製造・サービスを行う主な業種は医療機器、テキスタイル、電子・自動車部品、たばこ、ジュエリー、ロジスティクス、コールセンターなど。コチョン氏は、近年成長が著しい業種として医療機器や電子・自動車部品を挙げ、「今後はロジスティクス関連の需要が増加する」と説明した。日系企業は、衣料品メーカーのワコールと、産業資材や医療機器を展開するNISSHAが同フリーゾーンを活用している。

矢崎ノースアメリカの本林氏は、ドミニカ共和国への製造拠点設立の経緯と進出メリットを紹介した。矢崎総業は中米の59カ所にワイヤーハーネス工場を抱えており、ドミニカ共和国には60番目のワイヤーハーネス工場を設立し、2026年に生産開始を見込んでいる。同社の中米進出の背景として、本林氏は「ASEANからの生産移管で顧客に近接した生産を実現し、リードタイム短縮、輸送費の改善を達成する。また、米国向け製品の生産拠点が集中するメキシコにおける賃金上昇を含めたリスクを軽減・分散する」ことを挙げた。

セミナーには、140人を超える日本企業関係者らが参加し、質疑応答の際には登壇者に対して多くの質問が寄せられ、参加者の関心の高さがうかがえた。

写真 ドミニカ共和国の経済情勢について講演するジェトロ・サンパウロ次長の宮本敏央氏(ジェトロ撮影)

ドミニカ共和国の経済情勢について講演するジェトロ・サンパウロ次長の宮本敏央氏(ジェトロ撮影)

(注)本セミナーは、経済産業省、在ドミニカ共和国日本大使館、在日ドミニカ共和国大使館と共催した。開催にあたり、在ドミニカ共和国日本大使館の高木昌弘大使、在日ドミニカ共和国大使館のロバート・ミキイ・タカタ・ピメンテル大使が開会あいさつを、経済産業省通商政策局 中南米室の三浦聡室長が閉会あいさつを務めた。

(小西健友)

(ドミニカ共和国)

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