IMFが2025年のMENA地域の経済成長とインフレ見通しを発表（中東、アフリカ）

IMFは4月18日に発表した「地域経済見通し（中東・中央アジア）」で、2024年の中東・北アフリカ（MENA）地域（注1）の実質GDP成長率の見通しを2.7％とした（2024年4月24日記事参照）。一方、2025年の成長率は、世界では3.2％、MENA地域では4.2％、石油輸出国（注2）では4.4％、湾岸協力会議（GCC）諸国では4.9％としている。

国別でみると、2025年の経済成長率はMENA地域ではリビアが最も高く6.9％で、ジブチとサウジアラビアが6.0％でそれに続いた。

〇IMFによる2025年実質GDP成長率見通しの上位国

リビア：6.9％
ジブチ：6.0％
サウジアラビア：6.0％
モーリタニア：5.5％
スーダン：5.4％
イラク：5.3％
エジプト：4.4％
アラブ首長国連邦：4.2％
ソマリア：3.9％
モロッコ：3.3％

なお、2025年の名目GDPの見通しは、世界全体では117兆ドル、MENA地域は4兆1,114億ドル、石油輸出国全体では3兆3,893億ドル、GCC全体では2兆2,963億ドルだった。MENA地域の名目GDPを国別にみると、サウジアラビアの1兆1,710億ドルが最大で、アラブ首長国連邦が5,502億ドルで2位、イランが4,862億ドルで3位となった。

〇IMFによる2025年名目GDP見通しの上位国

サウジアラビア：1兆1,710億ドル
アラブ首長国連邦：5,502億ドル
イラン：4,862億ドル
エジプト：3,288億ドル
イラク：2,788億ドル

また、MENA地域の2025年のインフレ率見通しは12.4％としており、石油輸出国では9.4％、GCCでは2.1％だった。国別でみると、スーダン、イラン、エジプト、イエメンが地域のインフレ率を押し上げる予測となった。

〇IMFによる2025年インフレ率見通しの高い国

スーダン：62.7％
イラン：32.5％
エジプト：25.7％
イエメン：17.3％
チュニジア：6.9％
アルジェリア：6.4％
イラク：4.0％
モーリタニア：4.0％
ソマリア：3.9％
リビア：2.9％

（注1）IMFの定義では、MENA地域はアルジェリア、バーレーン、ジブチ、エジプト、イラン、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、モーリタニア、モロッコ、オマーン、カタール、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、シリア、チュニジア、アラブ首長国連邦（UAE）、ヨルダン川西岸地区およびガザ地区、イエメンの22カ国・地域。イスラエルとトルコは含まない。

（注2）アルジェリア、バーレーン、イラン、イラク、クウェート、リビア、オマーン、カタール、サウジアラビア、UAEを指す。

（井澤壌士）

（中東、アフリカ）