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バイデン米政権、UFLPA事業者リストに中国の鉄鋼企業など2社追加(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月4日 11時0分

米国国土安全保障省(DHS)は10月2日、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)に基づく輸入禁止対象の事業者を掲載した「UFLPAエンティティー・リスト(EL)」に中国企業2社を追加したと発表した。翌3日付の官報で公示した。

UFLPAは2022年6月に施行された米国法だ。(1)物品の採掘・生産・製造が中国の新疆ウイグル自治区で行われた場合、または(2)UFLPAのELで指定された企業・団体が物品の生産などに関与した場合、強制労働の利用があるとみなして米国への輸入を禁止する。これまで、ELには73企業・団体が指定されていた。今回の追加指定で、EL掲載の事業者数は合計で75企業・団体となった(注1)。

今回追加指定された2社のうち、宝鋼集団新疆八一鋼鉄(Baowu Group Xinjiang Bayi Iron and Steel)は、中国の新疆ウイグル自治区に拠点を置く鉄鋼石採掘・鉄鋼製造企業で、同自治区政府と協力の上でウイグル人などを強制労働に当たらせているとの疑いに基づく。もう1社の常州光輝食品添加物(Changzhou Guanghui Food Ingredients)は中国江蘇省に拠点を置く人工甘味料アスパルテームの製造・販売企業で、同自治区から原材料を調達しているとの疑いに基づく。また、DHSはこれら2社の追加指定と併せて、2022年6月にUFLPAのELに指定され、中国安徽省に拠点を置く家電製品の製造・販売企業の企業名称変更を理由に、UFLPAのELの掲載事業者名を合肥美菱(Hefei Meiling)から長虹美菱(Changhong Meiling)に変更した。

DHSによると、UFLPAのELにはこれまでアパレル、農水産食品、ポリシリコン、プラスチック、化学品、バッテリー、家電製品、電子機器、食品添加物などの産業分野の企業が指定されていたが、鉄鋼とアスパルテームの企業が指定されるのは今回が初めて。DHSのロバート・シルバース次官はプレスリリースで「どの産業分野もUFLPAと無関係ということはない。われわれは今後も産業分野を問わずに(新疆ウイグル自治区での強制労働に加担する)企業を特定し、搾取や虐待から利益を得ようとする者の責任を追及していく」と述べた。

UFLPAのELの追加指定は2024年以降、今回の発表を含めて4回目で、延べ36企業・団体に及ぶ(注2)。米国に製品を輸出する企業にとっては、製品のサプライチェーンにおける日頃の人権デューディリジェンスの一環として、UFLPAのELに掲載された企業・団体との関わりを追加指定のたびに確認することが重要だ。米国税関・国境警備局(CBP)の公表するUFLPA執行統計(9月1日時点)によると、UFLPAの2022年6月の施行以降、これまでに累計9,791件(35億6,000万ドル相当)の貨物が同法に基づいて輸入を差し止められている(注3)。

(注1)併せて指定されている子会社や関連組織を除く。詳細はDHSウェブサイト参照

(注2)UFLPAの概要や動向はジェトロの特集「ウイグル強制労働防止法」参照

(注3)UFLPAに基づいて輸入を差し止められた貨物の産業分野別と国・地域別の件数や金額は2024年10月3日記事参照

(葛西泰介)

(米国、中国)

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