ジェトロがアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)ウェビナーを開催(アフリカ、コートジボワール)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月5日 0時5分
ジェトロは5月27日、西アフリカ市場に関心を持つ日本企業向けに「アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)」に関するウェビナーを開催した。世界税関機構(WCO)の藤光基裕氏が登壇し、AfCFTAの機能や設立経緯、関税譲許表や原産地規則の仕組みと交渉状況などを解説した。
AfCFTAの関税譲許表の適用には、対象物品がアフリカ域内で生産または加工・製造される必要があり、原産性の判断には様々な基準が設けられている。鉱物、家畜、農産物などの一次産品以外における判断基準は物品ごとに定められており、その例は次のとおり。
AfCFTA域外の原材料を域内で加工・製造し、原材料の関税分類と異なる最終製品になる場合、「関税分類変更基準」でAfCFTA域内の原産性が付与される。
AfCFTA域外の原材料を域内加工しても関税分類が変わらないもの(例:亜麻の糸、HSコード53.06の紡績)は、域内での加工度、すなわち「加工工程基準」で原産性が付与される。
また、例えば、ガラス製品など(HSコード70類)においては、域内加工後の最終製品価格に占める域外原材料価格の割合が、原則60%を超えない場合に、「付加価値基準」で原産性が付与される。
注目される点は、製品の加工・製造が域内の複数国で施される場合、最終製品までの付加価値などの累積で原産性が判断される点だ。これにより、企業は大陸内の国際サプライチェーン構築を視野に、最終消費地と加工・製造適地をつなぐ投資計画を行うことが可能だ。また、知的財産権問題への対応も注目される。AfCFTAでは、保税輸送中の貨物に知的財産権侵害の疑いがある場合、最終仕向け地のみならず域内通過国で貨物を臨検し、不正品の摘発を可能とするなど、内陸国が多いアフリカの地域性が考慮されている。
なお、世界銀行の試算で、AfCFTAの完全実施は域内所得を7%増加させるが、このうち関税削減の寄与度は0.2ポイントに過ぎず、最大の効果は貿易円滑化措置の実施から得られる。実際、西アフリカではナイジェリアのラゴスから近隣トーゴのロメまでの陸上300キロ未満の輸送に10日間を要しており、貿易円滑化に向けたインフラ整備や物流改善がAfCFTAの成否を握る。
ウェビナーの様子(ジェトロ撮影)
(藤本海香子)
(アフリカ、コートジボワール)
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