エチオピアとソマリア、トルコの仲介で和解へ(エチオピア、ソマリア、トルコ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月20日 1時5分
トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領の仲介により、12月11日、ソマリアのハッサン・シェイク・モハムド大統領とエチオピアのアビィ・アハメド首相はトルコのアンカラで和解に向けた宣言(アンカラ宣言)に署名した。
アンカラ宣言では、ソマリアとエチオピアの両国が互いの主権、統一、独立、領土保全を尊重し、国連憲章やアフリカ連合(AU)設立条約の原則を再確認、これまでの対立を克服し、共通の繁栄に向けて協力することで合意した。特にソマリアの領土保全を尊重しつつ、エチオピアの海へのアクセスが確保されることについて、両国が契約やリースなどの商業的取り決めを通じて実現することを明記した。2025年2月末までにトルコの仲介の下で技術的交渉を開始し、4カ月以内に合意に署名することを決定した。
今回の合意は、2024年1月1日にエチオピアがソマリアの一部であるソマリランドと海軍基地建設などの覚書(MoU)を締結したことで生じた地域の緊張を緩和するものとなる。当時、ソマリアはこの覚書を主権侵害として強く反発していた(2024年1月23日記事参照)。
アンカラ宣言に対し、国際社会からは相次いで支持表明が行われた。米国のアントニー・ブリンケン国務長官は12日の声明で「エチオピアがソマリアの領土保全を尊重しつつ、信頼性の高い、安全で持続可能な海へのアクセスを確保できるようにするための技術的な交渉に期待する」と表明し、両国のアル・シャバーブ(イスラム過激派組織)との戦いでの安全保障協力の強化も奨励した。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長も同日、両国首脳が友好と相互信頼の精神で合意に至ったことを歓迎し、技術的な交渉の早期開始に期待を示すとともに、国連として必要な支援を行う用意があると表明した。
EUも声明で、この合意が「アフリカの角」の緊張緩和に向けた対話の重要性を示すものと評価し、両国の主権と領土保全を支持するとともに、トルコの仲介による今後の調停プロセスへの支援を表明した。
(石川晶一)
(エチオピア、ソマリア、トルコ)
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