EV導入意識調査、2033年までに約9割が購入検討との見方も(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月21日 0時10分
米国自動車関連サービス企業のコックス・オートモーティブは5月14日、米国市場における電気自動車(EV)導入に関する調査結果(注1)を発表した。それによると、12カ月以内にEVの購入を検討するとした「購入検討者」の割合は45%と2022年調査時の51%より減少した。一方で、EV購入を検討しないと回答した残り55%の「懐疑論者」のうち、54%が2028年まで、70%が2032年まで、80%が2033年までに購入を検討するとした。この結果を受け、コックスは、現在の懐疑論者が次なる購入者層として待機している状態で、2033年までに全ての自動車購入者の約9割がEVを検討することになるとの見通しを示している。
今回の調査では、購入者層がより広がっていることも示された。2021年の調査では、購入検討者の平均家計所得が8万7,000ドルだったところ、今回は7万2,000ドルに減少した。また世代別では、購入者の12%を占めたZ世代(注2)が15%に増加、さらに、29%を占めた単身者が40%に増加、加えて多文化を背景に持つ消費者が36%から47%に増加した。中古のEV購入を検討する割合も増えており、2021年の62%から77%に大きく伸びた。
メーカー別では、購入の検討先として回答者の60%がテスラ選んだが、2021年比でみると、トヨタが17ポイント増(27%)と最も伸び、次いで起亜、現代がそれぞれ7ポイント増、6ポイント増と増加するなど、既存の自動車メーカーにも購入対象が広がっていることを示した。なおEV購入を控える障壁としては、購入検討者は「価格」、懐疑論者は「充電ステーションの不足」が主な要因だった。
2023年の米国市場におけるEV販売台数は初めて100万台を超えたが、伸びの勢いは減速している(2024年4月3日付地域・分析レポート、2024年4月8日記事参照)。今回の調査結果に関し、コックスのリサーチ・マーケットインテリジェンス担当副社長のイザベル・ヘルムズ氏は「EV販売の伸びが鈍化し、購入検討者の割合も減少しているが、正常な成長曲線の一部であり、これで終わりではないと考えている。今日、多くの懐疑論者が2020年代末までのEV購入を慎重に検討している結果が出たことから、われわれは米国でのEV販売の長期的な見通しについては引き続き強気だ。インフラ、教育、技術革新と改善がさらに進むことで、EV販売は長期的に成長し続けると考えている」と述べた。
(注1)同調査は24カ月以内に自動車の購入を検討している2,557人の消費者を対象に、2024年1月に行われた。ここでいうEVは、バッテリー電気自動車(BEV)を指す。
(注2)ここでは2024年時点で18~28歳を対象とする。
(大原典子)
(米国)
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