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イベリア航空に聞く、マドリード~成田直行便再開、生鮮食品直送にも期待(スペイン、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月26日 1時35分

スペインのイベリア航空は10月27日から、マドリード~東京成田間の直行便を4年半ぶりに再開している。同路線は日本とスペインを結ぶ唯一の直行便だ。2016年10月に運航開始後、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年から運休していた。マドリード発は木曜、土曜、日曜、東京発は月曜、金曜、日曜の週3往復で、次の運航スケジュールとなっている。

IB281 マドリード発:午前11時55分~成田着:翌日午前10時15分
IB282 成田発:午前11時55分~マドリード着:午後7時45分

イベリア航空へのヒアリング(11月19日)によると、運航再開から約1カ月、利用状況は非常に好調という。同路線では、機材はエアバスの中型機A350を使用し、座席数は348席(エコノミー293席、プレミアムエコノミー24席、ビジネス31席)。ロシア上空の迂回や風向きの都合により、東京行きは南東欧、トルコ、中央アジア上空を通過、マドリード行きは米国アラスカからカナダ、アイスランド上空を通過するルートで、往復すると西から東に世界一周することになる。飛行時間は東京行きが14時間、マドリード行きが16時間と、イベリア航空の路線の中で最長のため、機長2人、副操縦士2人の4人体制で運航しているという。

イベリア航空にとって、東京路線は現在唯一の東アジア路線だ。新型コロナ以前はマドリード~上海路線も運航していたが、ウクライナ情勢でロシア領空を飛行できず、EU排出量取引制度(EU ETS)の導入(2024年5月27日付地域・分析レポート参照)など環境規制も厳しくなる中、中国路線で欧州エアラインは競争力が低下し、シェアが全般に低下している。イベリア航空も「短中期的に上海路線を再開する予定はない」としている。こうした事情もあり、今回の東京との直行便再開はスペインや地元マドリードの観光業界の強い後押しがあったという。同社は2025年には現在の週3便から従来の週5便への増便を目指す。運休直前の2019年は15万人近くが同路線を利用したという。

直行便は、日本とスペイン間の農産品・食品の輸出入でも朗報だ。同航空によると、今回の直行便再開はイベリア航空の旅客輸送事業だけでなく、グループ関連会社のIAGカーゴの東京向け航空貨物事業の再開も意味している。「航空貨物ビジネスは東京路線で重要な位置付けを持っており、クロマグロの輸出なども期待される」(イベリア航空広報担当者)という。

写真 マドリード~東京路線を飛ぶエアバスA350機(イベリア航空提供)

マドリード~東京路線を飛ぶエアバスA350機(イベリア航空提供)

(伊藤裕規子)

(スペイン、日本)

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