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バイデン米大統領、両面太陽光パネルに対するセーフガード適用除外の終了を発表(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月26日 13時30分

米国のジョー・バイデン大統領は6月21日、両面太陽光パネルに対する緊急輸入制限(セーフガード)措置の適用除外を終了する大統領布告を発表した。6月26日に官報で正式に公示する。バイデン大統領は5月に、中国からの輸入が急増したことから、両面太陽光パネルへの適用除外を終了すると発表していた(2024年5月17日記事参照)。

セーフガードは、ある製品の輸入が急増して輸入国の産業に損害を与えている場合に、当該輸入国政府が発動する関税引き上げ・輸入数量制限措置で、WTOのセーフガード協定で認められている。トランプ前政権は2018年2月に、一部の太陽光発電製品の輸入急増が国内産業に損害を与えているとして、米国での具体的なセーフガード発動手続きを定めた1974年通商法201条に基づき、太陽電池セルに関税割り当て(TRQ)を、モジュールなどに追加関税を賦課する4年間のセーフガード措置を発動した(2018年1月30日記事参照)。その後、バイデン大統領は2022年2月に、当該措置を4年間延長した一方、両面太陽光パネルを適用除外とすることを決めていた(2022年2月7日記事参照)。

今回の大統領布告では、両面太陽光パネルに対する適用除外終了を具体的に定めた。適用除外が終了する品目は、太陽電池セル〔米国関税分類番号(HTSコード)8541.42.0010〕やモジュール(8541.43.0010)などに分類される両面太陽光パネルで、大統領布告の発表から5日後の6月26日の米国東部時間午前0時1分以降に輸入された貨物に対して有効となる。ただし、輸入された両面太陽光パネルの購入などに関する契約が2024年5月17日より前に締結され、かつ6月26日から90日以内に米国に輸入される場合などに限り、引き続きセーフガード措置の対象外となる(注1)。

バイデン大統領は、気候変動対策を主要な政策目標として掲げ、再生可能エネルギーの導入を積極的に後押ししている。2022年6月には太陽電池セルとモジュールを安定的に確保するため、カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナムの4カ国からの太陽光発電関連製品の輸入に対して関税を免除する、「ソーラーブリッジ」を発表していた(2022年6月7日記事参照)。しかし当該措置も、当初の想定どおり2024年6月で終了した(注2)。今回、セーフガードの適用除外も終了したことで関税障壁が高くなり、太陽光パネルなどは米国内での生産が促されることになりそうだ。

(注1)ただし、5月17日以前に契約が締結された場合であっても、その後、契約が修正などされている場合はセーフガード措置の対象となる。

(注2)ソーラーブリッジの導入に対しては、中国の迂回輸入を助長するなどとして、議会が反発していた(2023年5月17日記事参照)。なお、当該東南アジア4カ国からの太陽光発電製品の輸入は、中国からの迂回輸入であるとの判定がされているほか(2023年8月24日記事参照)、商務省は2024年5月に太陽電池について、アンチダンピング関税(AD)と補助金相殺関税(CVD)の発動要否について調査を開始している(2024年5月22日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国)

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