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マレーシア東海岸をレアアースハブに、ECERDCがセミナー開催(マレーシア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月4日 0時50分

マレーシアの東海岸経済地域(注)開発協議会(ECERDC)は11月28日、クアラルンプール市内で「ネットゼロの推進:ECERにおける排出削減困難(Hard-to-Abate)産業への機会」と題したセミナーを開催した(ECERDCプレスリリース)。ECERが強みを持つレアアースにつき、産業概要や事業の進展状況を紹介した。マレーシア政府と日本企業との連携強化を模索すべく、在マレーシア日本企業も登壇した。

マレーシア鉱物・地学局によれば、マレーシアのレアアース埋蔵量は約1,610万トン、3,534億リンギ(約12兆円、1リンギ=約34円)相当に上ると推定される。特にECERには、再生可能エネルギー技術や電気自動車用モーターに不可欠なネオジム、ジスプロシウム、プラセオジムなどが採掘できる場所が存在する。レアアースは、新産業マスタープラン(NIMP)2030(2023年9月7日記事参照)でも重要産業に挙げられ、政府は今後3年間で2カ所の加工工場設置を目指している。

「レアアース開発機会:ECERの潜在力」と題した第1セッションでは、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)ジャカルタ事務所がレアアース開発への取り組み、オーストラリアの資源生産大手ライナスがマレーシアにおける事業の進展や開発状況、豊田通商が中流・下流開発に関する実績をそれぞれ紹介した。

ラフィジ・ラムリ経済相は基調講演で、「ECERは、マレーシアがレアアースのハブとなる上で重要な役割を担う」「レアアースは未開発資源であり、今後10~15年間にわたり経済成長に大きく寄与する可能性がある」との見解を示し、政府として上流と下流部門の発展をともに推進し、産業ニーズに対応したいとした。他方、マレーシをア含めASEANはレアアース埋蔵量こそ多いものの、特に下流処理のバリューチェーンが発達しておらず、政府は戦略的パートナーシップとインフラ投資を通じ問題に対処しつつあると述べた。特に技術的知識の不足については、能力開発のため、日本からの投資誘致が必要だと指摘した。

ECERで注目の取り組みとして、ほかには二酸化炭素(CO2)の回収・有効利用・貯蔵(CCUS)技術がある。ラフィジ氏は、希少鉱物が豊富で高度な貯蔵設備を備えるマレーシアは、強靭(きょうじん)なサプライチェーンを求める国際企業にとっての最適立地だと強調。一方、バランスの取れた地域開発は重要とし、(マレー半島)西海岸のクラスターを維持しつつ、東海岸の活用にも力点を置くと述べた。先進的CCUS技術に焦点を当てた第2セッションでは、経済省と国有石油会社ペトロナスが、国内で進行中の事業を紹介したほか、マレーシア投資開発庁(MIDA)サステナビリティ部門やパハン州に生産拠点を置く化学品カネカなどが、パネルディスカッションで脱炭素化に対する課題を共有した。

写真 会場の様子と基調講演を行うラフィジ・ラムリ経済相(ジェトロ撮影)

会場の様子と基調講演を行うラフィジ・ラムリ経済相(ジェトロ撮影)

(注)東海岸経済地域(ECER)は、マレーシアの長期大型開発計画の1つ。具体的には、マレー半島東部のパハン州、クランタン州、トレンガヌ州、およびジョホール州メルシン地区・セガマット地区。同地域のビジネス環境については、2023年5月8日付地域・分析レポートも参照。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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