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コンゴ民主共和国東部で反政府武装組織が勢力拡大(コンゴ民主共和国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年2月3日 14時35分

コンゴ民主共和国(DRC)の東部国境地帯で2025年に入り、隣国ルワンダ政府の関与が指摘される反政府武装組織「3月23日運動(M23)」が急速に勢力を拡大しており、北キブ州の州都ゴマ周辺では連日、DRC国軍との激しい戦闘が続いている。国際社会は停戦を呼びかけているが、情勢は流動的だ。

現地および国連報道によれば、M23は1月26日、「ゴマ制圧」を宣言。国連安全保障理事会は同日、緊急会合を開き、M23に対して攻撃と進軍の停止を求めた。また、DRCのテレーズ・カイクワンバ・バグナー外相は、ルワンダが越境して軍隊を派遣したことを「宣戦布告」だと非難し、国連に制裁を求めた。これに対し、ルワンダ側は「国連の平和維持部隊は、平和維持と民間人保護という本来の任務を超えて、ルワンダの政権交代をもくろむ勢力に加担している」と反論している。

一連のM23の攻撃で、東部に展開する国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)にも死者が出ており、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、ルワンダに軍の撤退を呼びかけたが、同国側はこれを拒否した上で、自国の国境付近での戦闘に備えて「継続的に防衛姿勢」を維持する必要がある、と主張している。

AFP通信によると、両国は1月26日、互いの外交官の引き揚げを決定するなど国交断絶状態に陥り、緊張が高まっている。

一方、各紙報道によれば、首都キンシャサでは1月28日、ゴマ侵攻に対する欧米、アフリカ諸国の対応に不満を持つ市民によるデモが暴徒化し、フランス、米国、ベルギーなどの欧米大使館のほか、ルワンダ、ケニア、ウガンダ大使館を襲撃した。デモ隊の一部は敷地・建物内部にまで乱入して壁や車両に放火、機材の損壊や略奪を行った、と報告されている。また、スーパーマーケットなど商業施設も襲撃、略奪され、暴力行為は過激さを増した。混乱は同夕刻には沈静化したものの、街中は引き続き緊張下にある。これを受けて、フランス、ベルギー、ウガンダなどの航空会社はキンシャサ便を取り止め、米国は自国民に対して国外退避を勧告している。

国連によると、DRC東部では、2025年に入ってからだけで50万人以上の住民が避難を強いられているという。また、直近3日間の戦闘で100人以上の死者、1,000人を超える負傷者が報告されている。

重要鉱物資源の世界的な産地であるDRC東部では、これまで多数の武装勢力が乱立し、約30年にわたって民族対立を根底に資源争奪戦が繰り返されてきた。M23の攻撃についても、DRC政府は、ルワンダ政府がM23を通して鉱物の強奪を図っていると批判している。

ゴマでの停戦に向けて、国連のみならず、各国および他の国際機関も動き出している。各紙報道によれば、米国、EU、中国、アンゴラなどが、ルワンダ軍の撤退を呼びかけたほか、東アフリカ共同体(EAC)は1月29日、ケニアを議長国とする緊急首脳会議を開催し、即時停戦を促した。

DRCのフェリックス・チセケディ大統領は同29日、現在、国軍による反転攻勢が進行中であるとし、若者に対し「国家主権を守るために軍隊に入隊するよう」呼びかけた。

軍事的な衝突に伴い人道的危機、民族間の対立が深まると、地域の安全保障を脅かすことが懸念される。

なお、在コンゴ民主共和国日本大使館は1月30日、暴力を伴う大規模デモ発生に伴う出国の検討・退避準備の注意喚起をしている。現地の最新の治安情報は外務省渡航安全情報「コンゴ民主共和国」ページも参照。

(渡辺久美子)

(コンゴ民主共和国)

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