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米・シンガポール、AIや半導体分野で連携強化の共同声明発表(米国、シンガポール)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月7日 1時45分

米国のジーナ・レモンド商務長官とシンガポールのガン・キムヨン副首相兼貿易産業相は6月5日、シンガポールで「成長・イノベーションパートナーシップ(PGI、2022年3月30日記事参照」」閣僚会合を実施し、共同声明を発表した(米国側発表シンガポール側発表)。

PGIは2021年10月に発足した2国間の取り組みで、(1)デジタル経済・スマートシティー、(2)先端製造技術・サプライチェーン強靭(きょうじん)性、(3)クリーンエネルギー・環境技術、(4)ヘルスケアの4本柱を中心に経済連携の強化を図るもの。今回発表した共同声明では、PGIを両国が複雑な問題に対処するための解決策やイノベーションを共同で模索・開発する重要なプラットフォームになっていると評価したほか、今後もPGIの下で2国間協力を深化させるとした。共同声明に記載した各分野の具体的な成果や今後の取り組みは次のとおり(注1)。

1. デジタル経済・スマートシティー:両国が参加する個人データの越境移転ルールに関する国際的な枠組みの「グローバルCBPR(Cross-Border Privacy Rules)フォーラム」が2024年4月に新たなプライバシー認証システムを稼働させたこと(注2)などの成果を列挙。2国間協力をさらに前進させるとして、両国の政府や産業界の関係者が人工知能(AI)に関する投資・ガバナンス・人材育成について議論する2国間ラウンドテーブルの開催などを挙げた。
2. 先端製造技術・サプライチェーンの強靭性:特に半導体に関する2国間協力の強化に取り組むことを表明。具体的な協力テーマとして、半導体産業の成長や発展に対応する人材育成、次世代集積回路(IC)の研究開発、イノベーション、半導体・半導体製造装置のサプライチェーンを列挙した。
3. クリーンエネルギー・環境技術:特に民生用原子力エネルギーの能力構築に関する2国間協力の強化に取り組むことを表明。また、東南アジアで持続可能性と気候変動対策を促進するために、インド太平洋経済枠組み(IPEF)のクリーン経済協定(注3)の下で、水素や持続可能な航空燃料(SAF)などの協力を進展させる。

また、商務省は同日、閣僚会合後に開催されたAIに関する2国間ラウンドテーブルに関するファクトシートを発表した。この中で、両国は生成AIなどAI技術について新たな発展の機会をもたらす技術と確信していると言及。同時に、AIの急速な普及に付随する懸念を軽減する必要性も認識しているとして、両国のAIに関するリスク管理フレームワーク(注4)に関するベストプラクティスの情報交換などを通じて協力を継続するとした。また、両国が協力してAI人材育成を図る「AI人材ブリッジプログラム」の立ち上げを目指し、AIを含む重要・新興技術に関する2国間協力を深めるとした。

なお、レモンド長官は6月3~6日にシンガポールを訪問し、IPEF閣僚会合やIPEF投資フォーラム、IPEF参加国との2国間協議などに参加している。

(注1)ただし、(4)ヘルスケア分野に関する記載はなかった。

(注2)CBPRフォーラムは2024年4月30日、越境個人データに関する新たな国際企業認証制度のグローバルCBPRシステムの稼働に関する文書を発表した(日本の経済産業省ウェブページ参照)。フォーラムには米国、シンガポール、日本、韓国、台湾、フィリピン、オーストラリア、カナダ、メキシコ、英国の10カ国・地域が参加〔英国のみ準参加国(Associate)、2022年4月26日記事参照〕。

(注3)貿易、サプライチェーン、クリーン経済、公正な経済の4本柱で協定内容が協議され、サプライチェーンに関する協定が2月に発効した(2024年3月15日記事参照)。

(注4)米国商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)は2024年1月にAIリスク管理フレームワークを公表した(2023年2月1日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国、シンガポール)

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