欧州議会、欧州委員人事案を承認、第2次フォン・デア・ライエン体制は12月1日始動(EU)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月28日 15時5分
欧州議会は11月27日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が提案した人事案(2024年9月25日記事参照)を賛成多数で承認した(プレスリリース)。これにより、欧州委の第2次フォン・デア・ライエン体制は、欧州理事会(EU首脳会議)による任命を経て、12月1日に発足する。
人事案を巡っては、親EU中道3会派のうち、欧州人民党(EPP)グループ(中道右派)が、社会・民主主義進歩連盟(S&D)グループ(中道左派)、欧州刷新(Renew)グループ(中道)と対立していたが、最終的にはEPPが人事案を押し通すかたちで合意した(2024年11月25日記事参照)。中道3会派を中心とした賛成多数により、ほぼ提案どおりでの人事案の承認となった。委員候補の差し替えなしでの承認は史上初だ。一方で、極右を含む右派や左派の多くは人事案に反対。中道会派からも造反が多数出たことから、投票全体に占める賛成票の割合は約54%とこれまでの信任投票で最も少なかった。
グリーン・ディール関連法の実施と産業競争力強化の両立といった難問が山積するEU。第2次フォン・デア・ライエン体制への支持が割れる中、従来どおり中道3会派内での合意形成の方針を維持するのか、あるいは極右を含めた右派全体での合意形成も視野に入れるのか、フォン・デア・ライエン委員長の議会対応が注目される。
自動車産業の域内生産支援に向け、産業界などとの「戦略的対話」開催へ
フォン・デア・ライエン委員長は投票に先立ち、欧州議会で今後の政策方針を演説した。おおむね7月の政治指針(2024年7月30日記事参照)に沿った内容だった。最優先課題となるEU域内産業の競争力強化については、今後5年間の政策枠組みとなる「競争力コンパス」を発表する方針を明らかにした。これは、ドラギ報告書(2024年9月19日記事参照)に基づくイニシアチブで、(1)米国・中国とのイノベーション格差の是正、(2)「クリーン産業ディール」など脱炭素化に向けた産業強化、(3)依存軽減を目指す経済安保、の3本柱からなる。
特に(2)については、脱炭素化と競争力強化を同時並行で進めるためには、産業界の声に、より柔軟に耳を傾ける必要があると強調。自動車産業の域内生産を維持すべく、関係者との「欧州自動車産業の将来に関する戦略的対話」を立ち上げるとした。
(吉沼啓介)
(EU)
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