政府、貯蓄信用協同組合の経営監督と預金保護を強化（ペルー）

ペルー銀行保険年金基金監督庁（SBS）は、貯蓄信用協同組合（COOPAC）に対して、協同組合預金保険基金（FSDC）加入を義務付けるとした。その準備のため、2024年内は各組合に対する監査を強化する。地元経済紙「ヘスティオン」が10月9日に報じた。

COOPACは「COOPACに関する規則と監督に関する法律」（2018年７月2日付法律30822号）に基づいて設置された協同組合組織の金融機関。COOPACは組合員から預金を集めることができるが、一般の企業や消費者から預金を集める権限は認められていない。10月時点で250組合がSBSに登録されている。各組合の総資産額は2024年6月時点のSBSへの届け出ベースで、約21万ソル（約840万円、1ソル＝約40円）から約26億ソルまで幅がある。銀行サービスを地元で受けられない地域の住民が組合員になっているケースや、同一企業の従業員と家族で組合員を構成するケースなど、組合員の構成や設立経緯はさまざまだ。

FSDCに関する決議（2024年3月13日付SBS00925-2024号）によると、FSDCは四半期ごとに各組合の預金保険料の支払い状況をSBSに報告することを義務付けられる。SBSはFSDCの運営状況の確認と各組合への監査を並行して行い、経営状況の監督を強化する。組合が破綻した場合には、預金した組合員に対して最大で1万ソルまで保護する。

SBSが経営強化を進める背景には、COOPACの経営環境悪化への対応と金融サービスの国民への普及を進めたい政府の狙いがある。10月1日に開催された議会の消費者保護委員会に参考人として参加したSBSのセルヒオ・エスピノサ長官は、新型コロナウイルスや自然災害で、組合員の企業と個人の活動が停滞したため、組合の活動も停滞を余儀なくされ、経営環境が厳しい状況にあると説明した。

また、「何らかの金融サービスを利用している国民は、5年前には41％だったが、現在は6割に達している。政府としては、水や電気と同じように金融サービスがさらに普及し、全国民が金融サービスを利用する状態にしたいと考えている。組合は国民の金融サービスへのアクセス向上のため重要な存在だが、銀行のようなセーフティーネットの仕組みがなかった。FSDCを設置することで消費者保護を強化する」と述べた。

（石田達也）

（ペルー）