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フォン・デア・ライエン委員長、一般教書演説で半導体の域内供給強化や中国への対抗姿勢を明確化(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2021年9月16日 16時25分

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は9月15日、今後1年間の欧州委の活動方針などを表明する一般教書演説を欧州議会で行った。まず、新型コロナウイルス対策について、EU域内の成人人口の70%以上のワクチン接種を完了したこと(2021年9月3日記事参照)や、ワクチン接種などの証明書「EUデジタルCOVID証明書」(2021年7月2日記事参照)の迅速な整備などを挙げ、加盟国の結束による成果だと強調した。

また、欧州委が推進する「欧州デジタル化対応」や「欧州グリーン・ディール」にも言及。デジタル化では、欧州のテクノロジー分野での自立が重要だとし、特に半導体の供給面でアジアへの依存が大きいことを指摘し、半導体のEU域内供給を強化する姿勢をあらためて示した。欧州委は今後、域内での研究・設計などの連携やEUと加盟国によるバリューチェーンへの投資の調整を進め、製造を含めた最先端の半導体チップのエコシステムの確立を目指すとし、「欧州チップ法案」を提案することを明らかにした。

欧州グリーン・ディールに関しては、2050年までの気候中立を法制化する「欧州気候法」(2021年4月22日記事参照)が7月に施行され、欧州委が2030年までの温室効果ガス(GHG)排出55%削減に向けた政策パッケージ(2021年7月15日記事参照)を提示したことなどを踏まえ、同じく2050年までに気候中立を目指す日本や米国などの主要国に対して、11月に予定されている第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)までに、目標達成に向けた具体的な計画策定の必要性を呼び掛かけた。

EU、新たなインフラ支援戦略「グローバル・ゲートウェイ」発表へ

対外関係では、新設のEU米国貿易・テクノロジー評議会(2021年6月16日記事参照)の活用など、米国との協力関係を引き続き強化する意向を示す一方で、中国に対抗する姿勢を明確にした。EUは透明性やグッドガバナンスなどの価値に基づくアプローチが必要として、中国の「一帯一路」構想に対抗すべく、新たなインフラ支援戦略となる「グローバル・ゲートウェイ」を近く発表するとした。EUは、質の高いインフラ投資によって人・モノ・サービスをつなげる「グローバル・ゲートウェイ」パートナーシップを世界の国々と締結するとし、「依存」でなく「連携」の強化を目指すと強調した。さらに、インド太平洋地域におけるEUのプレゼンスを高める必要があるとして、同地域に関する新たな戦略も発表した。

軍事面では、アフガニスタンからの米軍撤退に伴う混乱などを教訓に、フォン・デア・ライエン委員長はNATOとの協力を進める一方で、EUは自立して行動すべきと主張。問題はEUレベルの防衛能力の欠如ではなく政治的意思の欠如であるとして、「欧州防衛同盟」の実現に向け、支持を求めた。

(吉沼啓介)

(EU)

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