個人消費用の越境EC商品に対する輸入税免税措置を撤廃(ブラジル)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月6日 15時50分
ブラジルでは、越境EC(電子商取引)プラットフォーム経由で輸入される50ドル未満(運賃、保険、送料込みのCIF価格)の個人消費商品に対する輸入税の免税措置が8月1日から撤廃され、税率が20%となった(注1)。
同国で2023年8月以降、60%に設定されていた同輸入税が非課税になっていた(2023年7月12日記事参照)。非課税となる条件として、越境ECプラットフォーマーは、財務省が設立したプログラム「レメッサ・コンフォルメ」への登録が求められていた。今後、同プログラムに登録されている越境ECプラットフォーマーのみ、50ドル未満の個人消費商品に対する輸入税が20%となる。登録を行わない場合の税率は60%。登録プラットフォームの例として、中国のアリエクスプレス(Aliexpress)、米国のアマゾン(Amazon)、中国のシーイン(SHEIN)、シンガポールのショッピー(Shopee)、中国のティーム―(Temu)などが挙げられる。
今回の免税措置撤廃の決定は、国内産業保護の観点から行われた。引き上げを正式に提案したアチラ・リラ下院議員は5月28日に国会に提出した意見書で「免税措置が始まって以来、国内産業や国内小売業界の懸念は大きくなった。国内雇用や事業へのリスクも高い。ブラジル産商品の場合、全ての税が収められているが、国外で生産されたものは非課税とされている。これはアンフェアな競争だ」と述べた。
全国工業連盟(CNI)は7月25日付公式サイトで「新輸入税率は国内産業にとって大きな勝利だ」として、輸入税率の引き上げを歓迎した。ただし、CNIは国内産業が負う税負担が依然として高いため、国内事業者への不利な取り扱いは継続する(注2)と指摘し、「(非課税政策がもたらした)自由競争への侵害や国内経済発展への支障はまだ是正されていない」とコメントしている。
(注1)6月27日付法律第14,902号、6月28日付大統領暫定措置令1,236号、6月28日付財務省省令第1,086号によって決定された。
(注2)越境ECプラットフォームによる50ドル未満の個人消費商品の場合、輸入税20%に加え、商品流通サービス税(ICMS、税率17%)も課税される。一方、CNIによると、国内産業は全ての税を合わせると45%の税率を負担することになり、越境ECプラットフォームの負担より高い。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル)
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