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英政府、73億ポンドのグリーン投資基金の設置方針を発表(英国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月18日 0時30分

英国政府は7月9日、グリーン産業に投資し、良質な雇用を創出するための新たな基金「ナショナル・ウエルス・ファンド(NWF)」設置に関する方針を発表した。英国インフラ投資銀行(UKIB、注1)と英国ビジネス銀行(BBB、注2)をNWFの傘下に置き、連携させる。

NWFは、労働党政権の経済成長に向けた計画の一角をなすもので(2024年7月11日記事参照)、5年間で73億ポンド(約1兆4,965億円、1ポンド=約205円)をグリーン産業分野に投じる。それを呼び水に、その3倍の民間投資の動員と雇用の創出を目指す(注3)。

73億ポンドの追加資金がUKIBの既存資金に追加され、UKIBを通じて資金供給されるため、直ちに投資の実行が可能としている。UKIBは設立以来、33億ポンドを拠出し、約110億ポンドの民間資金を動員した実績がある。

BBBはこれまで124億ポンドの融資を実行し、2023年だけで2万3,000社以上に融資、3万9,000人以上の雇用を創出した。NWFの下でこれまで培ったベンチャーキャピタル(VC)における英国最大の投資機関としての実績と、投資家とのネットワークを活用し、潤沢な機関投資家の資金を動員する。

NWFの詳細は2024年後半に発表予定。

労働党新政権は、同党の掲げる5つのミッション(2024年6月28日付地域・分析レポート参照)の1つである2030年までの安価なゼロカーボン電力システム実現に向けて、立て続けに政策を発表している。

政府は7月9日、「ミッションコントロール」の設置を発表した。政府諮問機関の気候変動委員会(CCC)の元最高責任者クリス・スターク氏が責任者に任命され、業界の専門家や政府関係者で構成される。エネルギープロジェクトの問題解決、交渉、円滑化などを担う。また、主要エネルギー企業や規制機関と連携し、プロジェクトの障害を取り除き、問題発生時にはそれを特定して解決する。これにより新規電源の送電網への接続と、よりクリーンで安価な電力の供給を迅速化する。

また、政府は7月8日、イングランドにおける陸上風力発電所の新設の実質禁止を即日撤廃する政策文書を発表した。政府は2030年までの陸上風力の倍増を掲げ、陸上風力発電所の新設を実質禁止していた全国都市開発計画指針(NPPF)の改正に反映させる。

(注1)2021年設立の政府系金融機関。野心的なインフラプロジェクトへの投資促進や温室効果ガス(GHG)排出削減、地域間格差是正などを目的に設立(2021年6月21日記事参照)。

(注2)2014年設立の起業・小規模事業者向け金融の中核を担う政府系金融機関。民間銀行やベンチャーキャピタル(VC)ファンドなど金融機関に対し、出資、貸し出し、保証の3つの柱で資金供給を実施。

(注3)6月13日発表の労働党マニフェストでは、投資分野と金額はそれぞれ、鉄鋼業再建(25億ポンド)、港湾整備とサプライチェーン構築(18億ポンド)、ギガファクトリー新設(15億ポンド)、炭素回収の導入加速(10億ポンド)、グリーン水素製造(5億ポンド)。

(奈良陽一)

(英国)

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